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皆で考える地球温暖化(21)「明るい明日にむけて①」 プリント

PCC(気候変動に関する政府間パネル)は第5次評価報告書を公表し、地球は温暖化しており、その因は人間活動の結果排出される温室効果ガスの増加にあると断定している。が、温暖化には天文学的数字ほども要因があり、全てが解明されている訳ではなく、ましてや、実験し、立証されていることではないため、IPCCの結論は鵜呑みに出来ないと思う人も多いのではないだろうか。
実際、報告書をよく読み、内容を詳細に検討してみると、疑問点も多く、筆者も原因の特定と今後の予測を俄かには信じがたい、と思っている一人である。
しかし、太陽の活動や運行等、要因の如何を問わず、温暖化が進むと、地球のエネルギーバランスが崩れ、大気温や海水温が上昇し、大気や海水の流れが変わり、北極の氷河が溶け、海面が上昇する等、至る所で、想像を絶する異常現象が発生することは事実である。
実際、昨年、フィリピンをスーパー台風が襲い、未曽有の災害を発生させ、多くの犠牲者が出た。また、国内でも、高知の四万十市で41℃と観測史上最高気温を記録し、各地で「今まで経験したことのない大雨」に見舞われる等、甚大な被害が多発。命を守ることに追われ、仕事どころではない昨近である。
そのうえ、今にも発生するかも知れない巨大地震や原発事故の再来の恐怖もあり、天も地も心配で、多くの国民が安心して生活も出来ない。このような状況下、後追い行政のつけで、復興や再生にお金がかかることから、予算は膨大になるが、生活は豊かにならず、経済大国とは名ばかり、一向に実感がない。
自然界を意のままに動かし、異常現象のない、生活に最適な環境を創ることが出来れば安全・安心であるが、自然の猛威の前になす術もない、我が国の現状を見ても分かる通り、自然界を制御することは不可能に近く、現時点、夢のまた夢である。
従って、社会の持続的発展を願うなら、自然の力を上手く利用し、適応する以外、我々に道はない。その為には、総力を結集し、技術の開発を進め、天然資源を大切にし、再生可能エネルギーを導入すること等々が必要になるが、このことは取りも直さず、温暖化防止対策に他ならない。
従って、IPCCの報告に異論はあっても、温暖化の危機を唱えることは意味あることであり、これを旗印に温暖化防止プロジェクトを遂行し、成功させなければ、我々に明日はない。
しかし、多くの科学者が警告している、温暖化による人類社会崩壊の危機を地球規模で救うためには、仰天の「技術力」が必要であり、現在のそれでは間に合わない。
では、どうすれば良いのか。求められる技術の種類や水準は、未来の人口や生活の豊かさ等々の社会構成要因の設定如何によって決まることから、温暖化防止プロジェクトは、未来の世界像を描くことから始めなければならない。
そのことを論議するのが地球温暖化に関するCOP(締約国会議)の最も重要な使命である、と筆者は考えるのだが、エゴとエゴがぶつかり合い、その気配がなく、議論は堂々巡り。これでは時間やお金等の無駄使いで、地球環境の変化に先手を打つことはおろか、追随することさえ出来ない。
従って、温室効果ガス排出大国の中国やアメリカの本気度が感じられないまま、COPを開催することは気休めに過ぎない。
わが国は鳩山首相の時に、2020年には温室効果ガスを25%削減(1990年比)する、とCOPで国際公約をし、大きく前進するきっかけになるか。と、一時世界が色めき立ったが、現政権になりこれを反故にし、世界の顰蹙を買っている。
なぜか。その理由は全体構想が描けていなかったことが全てである。つまり、木を見て森を見ていないのである。全体を見て、しっかりした構想が描けていないプロジェクトは成功した例がない。世界を見て我が国をどうするか考え、政策を論議、決定しなければ、国際社会から置いてゆかれるばかりである。
地球温暖化防止対策。技術大国日本にとって、これほど平和裏に、世界に貢献できる格好のテーマはない。わが国一国では限界があるが、幸いEUは姿勢を変えていない。従って、EUと共に進めば、世界をリードすることができる。
また、わが国が平和裏に国際貢献することを態度で示せば、世界から大きな信頼を得ることになり、外交面にも好影響を及ぼすこと必定であり、中国に遅れをとっている資源戦略競争で巻き返しを図ることも出来る。
国際貢献のためには、最もエネルギーを効率的に使い、豊かな生活を送っていると自負する日本が、自国の経験と実績を踏まえ、人類社会の未来像を描き、環境大使を新設・任命、各国に派遣し、内容を十分に説明したうえ、COPに提案して、先ずは地球温暖化防止プロジェクト成功への道筋をつけることである。
このようにすれば、全体構想が分かり、COP参加国の理解が得られ、各国の足並みが揃うことから、希望の光が見え、プロジェクトが動き始める。提案する未来社会では、省資源、省エネルギーや再生可能エネルギーの開発・導入が進み、動・植物の生態系等も維持され、「地球力」が大きく向上することになるから、より多くの人々が豊かな生活を送れるようになり、社会格差がなくなって、紛争も少なくなる。
と同時に、提案国としての務めを果たすべく、国内では、厳しい環境に適応するため、堤防・橋・道路・鉄道等々のインフラがこれまで想定外とされた条件(例えば、降雨量200mm/H、風速100m/S、気温50℃)に耐えられる技術を開発・確立し、社会基盤を強化することも必要である。
このようにすれば、国土が強靭になり、「国力が安定する」うえ、世界のモデルともなり、これまで以上に「技術外交が出来る」ことから、一石二鳥である。
筆者の経験からして、関係者がこぞって、日夜努力し、全身で汗を掻けば、原発の代替として期待される再生可能エネルギーの効率化(例えば、効率80%以上の太陽光発電、50℃以上でも機能する超伝導ケーブル、100万Kw超の蓄電システムの開発)を図る等、社会基盤強化の為の課題はブレークスルー出来ると確信している。
より豊かな生活を求め、天然資源を大量に消費したり、自然界にはない物質を創りだしたりして、壊してしまった均衡を回復することは、並大抵なことではない。が、技術で壊してしまった社会は技術で直すしかない。
地球温暖化の警告を機に、社会の持続的発展に向け、技術大国の底力を見せるのは「今」である。手をこまねいていては、何もできない。今が、わが国が世界の環境リーダーとなる絶好の機会である。
評議員


 
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