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皆で考える地球温暖化(20)―エネルギー考「(原発の処方箋⑧)」 プリント

国破れて山河なしとならぬために
     

日暮れて道遠しとはこのことか。東日本大震災から今年3月で満二年になるが、瓦礫処理、インフラ整備等の復興作業は遅々としており、福島第一原発の廃炉作業も進んでいない。原発について、政府は原子力規制委員会に危機管理を委ね、委員会が安全と判断すれば再稼働し、新増設もする方向である。従って、規制委員会の責任は重大で、委員には、「良心」と豊富な「経験」に裏付けられた「判断力」が求められる。また、任務遂行に当たっては、全知全能を傾け、公平厳正を期し、間違っても、安全神話の元凶となった原子力ムラの轍を踏んではならない。
委員会は敦賀や東通原発の地下を調査し、活断層があると主張している。原発問題は一から出直しが持論であるから、地下構造を見直すことは賛成である。が、安全か否かの判断要因は地下構造に留まらない。このことは天災に人災が追い打ちをかけ、大惨事となった福島第一原発の事故を見ても明らかである。
私たちが希求するのは天災も人災もない社会であるが、現代の科学をもってしても自然の力を制御することは不可能に近く、天災は防止できない。このように考えると、災害列島に生きる我々に、人災を受け入れるゆとりはなく、安全神話などもっての外である。
規制委員会は全原発の審査には3年以上かかる、との見解を示している。自然要因を解明し、設備の耐震性や津波対策等々を確認したうえ、管理システムが機能し、成果を挙げられるか否か入念にチェックする必要があることを考えると無理もない。特に自然要因の解明は困難を極め、その結果次第では電力会社の頑強な抵抗に遭い、国と会社の間で原発戦争が勃発する恐れもあることから、短時間での決着は困難である。
レベル7の大惨事に見舞われ、避難を余儀なくされた住民が未だに帰宅できず、不毛の地となるかも知れない惨状を目の当たりにした我々は、通り一遍の審査で下された判断には到底承服出来ない。杜撰な管理で失った信頼を取り戻すには、的確に管理すれば問題ないことを実証する以外に手はない。
本年7月には国際水準の新基準が制定されるが、委員会には原発を隈なく視て全貌を明らかにし、政府や国会の事故調査報告書を解析、参考にして、「想定外」をなくしたうえ、視点と基準を決め、公平厳正に対処するよう望みたい。 
そして、入念な審査をした結果、安全と判断した東電の原発を自らの手(実質的に国有でその気になれば出来る筈)で先ず再稼働させ、国民の求めている安全の確保(含む核廃棄物の処理)が出来ること、すなわちこの基準が間違っていないことを、立証すべきである。
しかる後、他原発の再稼働や新増設について審査・論議し、安全な原発のみを稼働させ、必要なら、教育・指導をしてでも、ずっと目を光らせることである。癒着は許されないが、手を尽くして安全を確保する。すなわち審査の結果に責任を持つ。このような姿勢で臨み、全ての情報を公開すれば、時間はかかっても、自ずと国民の理解は得られる。
しかし、厳しい審査基準と、活断層が次々に見つかる現状を鑑みると、原発を再稼働させ、新増設しても、旧来(54基)の発電能力には遠く及ばない。一方で、わが国は、地球温暖化防止に貢献すべく、2020年には温室効果ガスの排出量を1990年比25%削減すると国際公約(国は見直すと言っているが世界は認めるかどうか)もしており、原発の処方次第では、国内外の信頼を無くし、国力が低下、奈落の底に沈む虞もある。
このように考えると、国家百年の計を立て、将来像を明確にして、エネルギー構想を練り、再生可能エネルギーの開発にも注力する両面作戦を遂行し、エネルギー問題を根底から見直す以外にわが国に取るべき道はない。かくして、安全技術が確立され、国内外の信頼を取り戻すことが出来れば、輸出や廃炉ビジネスも活発になり、経済成長にも大きく貢献する。
また、原発が無くても節電等で知恵を働かせ工夫をすれば、電力は賄え、生活が出来ることを国民は体験しており、原発は待機中であるから、今が帰趨を決める絶好の機会である。急がば回れ。科学・技術の総力を結集し、あの時があったから今がある。と言われるような成果を残すよう、一歩一歩、着実に歩を進めることが、原発に息吹を与えた我々の責務ではないか。


 
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