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ユーザ中心設計のすすめ(第54回)―アフォーダンス プリント
2010/05/08 土曜日 06:25:05 JST

アフォーダンス(affordance)という言葉はデザインや心理学の業界の方でない限り、ほどんど耳にしたことがないのではと思います。

アフォーダンス(affordance)とは、アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンが「与える、提供する」という意味の afford から造った造語であり、「物体の持つ属性(形、色、材質、変化など)は、その物体をどう取り扱ったら良いかについてのメッセージを動物に対して発している」という考え方です。

自然界にはアフォーダンス事例は多く存在します。たとえば、登山していて疲れたときに、手ごろな大きさの石があれば座って休憩します。人間はこの物体の形や色から石であることを認識し、上面が平らで座っても大丈夫だと判断した上で座るわけです。デザイナーはこのアフォーダンスを意図的に製品に盛り込むことで、ユーザを正しく効率的な使い方へ導くための手法として利用しています。良いアフォーダンスは,良いデザインのための1つの条件ともいえます。
 
それでは意図的にデザインされたアフォーダンス事例を見てみましょう。
図1の平らなプレートが付いたドアは、そのプレートを押せばよいことを示しています。逆に図2は引き手のついたドアは、引けばよいことを示しています。
   ui-54-1.jpg

このようにプロダクトデザイナーは、各種製品デザインにおいてアフォーダンスを効果的に盛り込んでいます。手で保持する部分、押す部分、引っ張る箇所、スライドさせる部分、開く部分、回転させる部分、倒す部分、等々ありますが、いずれもユーザが戸惑うことなく、簡単に使えるようにするための配慮です。
扉がどこにあるか判らない忍者屋敷、からくり屋敷は意図的にアフォーダンスを付けないという逆の発想です。

また街には、意図せずにアフォーダンスしているものが数多くあります。放置されている自転車のカゴはどうでしょう。空き缶やゴミがたくさん入っている風景を見かけませんか。これは、モノを入れるというアフォーダンスが存在しているということになります。
                           
みなさんの会社の製品や設備でアフォーダンスが弱いために使いにくいものはありませんか。   

過去記事一覧(第1回~第53回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。

株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
ui-logo-100316.gif


 
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