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皆で考える地球温暖化(7)-深海に眠るメタンハイドレート プリント

メタンハイドレートは悪魔か天使か


IPCCは化石エネルギーを重視しつつ高い経済成長を実現する社会では、前世紀に比べ、今世紀末の地球平均気温は最も確からしい値で約4℃(2.4~6.4℃)上昇すると見ています。すなわち、この見方だと、最悪の場合、気温は6.4℃も上昇する可能性を覚悟する必要があります。

過去最も変化の大きい、氷期~間氷期の急激な温度変化でも、100年に0.08℃ですから、4.0℃の上昇でも、その速度は50倍、6.4℃のケースでは、なんと80倍にもなり、そのすさまじさがよく分かります。いまだかって、人類はこのような上昇速度を体験したことがありません。

そして、驚くことには、氷結状態で深海に潜む莫大なメタンハイドレートが眠っている状態でも、地球の平均気温は最悪6.4℃上昇すると予測していることであります。6℃を超える気温上昇になりますと、温暖化により、海水面の熱が深海にまで及ぶと試算されています。

すると、深海のメタンハイドレートが目を覚まし、一斉にメタンガスが噴出し、温暖化が温暖化を呼び、手の付けられない状態になります。
つまり、気温の上昇は6.4℃では収まらず、どうしようもなくなるということです。

このようになると、手遅れで、人類は破滅の道をまっしぐらということになります。もう既にシベリアの凍土が溶け、巨大な湖が出現し、そこからメタンガスが噴出していると聞きますと、我々は戦慄さえ覚えます。

従って、地球温暖化を防止するには、温室効果ガスを大幅に削減する必要があり、野放しにすると、取り返しのつかない結果を招く可能性を秘めているのです。

実際、約5.5千万年前、1,500億Tものメタンハイドレートが溶け出し、短時間に大気に放出されたため、5~7℃も地表の温度が上昇した例があると言われており、この時は、バイオポンプが元に戻すまでに約3万年もかかり、この間温暖化現象が続いたとのことです(ノリス&ロール1999年)。

メタンハイドレート(CH4・5.75H2O)は低温高圧力の条件下で水分子の中にメタン分子が取り込まれた氷状の固体物質で、燃える氷とも呼ばれています。従って、メタンハイドレートを生成するには、例えば、圧力が1気圧の場合は、零下80℃以下に冷却する必要があり、圧力を50気圧にすれば、プラス6℃以下でも生成可能な物質です。

このようなことから、海域では水深500m以深の深海(海水温は4℃前後)か、陸域では高緯度地域の凍土下部に存在し、その量は全世界で約404兆m3、わが国では日本近海の海底層に約7兆m3強が眠っていると推定されています。

このように、量が膨大であるうえ、気化したメタンは温室効果が二酸化炭素の21倍もあることから、メタンハイドレートは眠れる悪魔のように恐れられてはいますが、メタンそのものは可燃性でありますので、扱い次第では、有力なエネルギー源となることは容易に想像がつきます。

また、天然ガス同様、石炭や石油よりも、燃焼時に発生する二酸化炭素量が少ないことから、メタンはクリーンなエネルギー源として地球温暖化防止に一役買うことになることは間違いありません。

従って、メタンハイドレートの特性を活かし、加熱あるいは減圧する方法で、気化生産できれば、量・質共に願ってもないエネルギー資源となることから、メタンガスを生産する方法が各国で盛んに研究されております。

実際、わが国でも検討がなされ、2006年に資源エネルギー庁が公表した(アメリカ・カナダ等も活発に研究)計画によりますと、わが国の天然ガス使用量(0.07兆m3/年)の100年分の資源が近海に眠り、30~50円/m3の価格で生産できると言われております。

この価格は、わが国が輸入している天然ガスの通常価格28円/m3よりは高いが、スポット価格の63円/m3よりは安い(いずれも2005年)ことから、最近の石油を始めとしたエネルギー資源の動向をみますと、十分採算がとれるのではないかと思われます。

このようにみてきますと、メタンハイドレートからメタンを生産することは、エネルギー資源の高騰と共に、地球温暖化の暴走を止めることにもなり、一挙両得であります。従って、メタンハイドレートの活用は我々人類の繁栄に資することになりますので、早期の実現が期待されています。

過去記事
・皆で考える地球温暖化(1)-連載にあたって
・皆で考える地球温暖化(2)-温室効果ガスと地球温暖化
・皆で考える地球温暖化(3)-削減対象とならない水蒸気
・皆で考える地球温暖化(4)-世界像を描け
・皆で考える地球温暖化(5)-地球力
・皆で考える地球温暖化(6)-COPは踊る

筆者プロフィル
東  勝(ひがし まさる)

co2-higashi_tckr.jpg環境・経営コンサルタント
VMCYハーバークラブ会員
1941年愛媛県大洲市生まれ
京都大学工学部卒業後
日本鉱業(現新日鉱ホールデイングス)(株)入社
(株)日鉱テクノサービス、日鉱金属(株)等を歴任
現在、環境伝道師を自認し、製造現場での豊富な経験を基に、
京都メカニズムのCDMプロジェクト審査・検証員
温室効果ガス排出量取引審査・検証員
環境ISOマネジメントシステムの構築支援・監査
環境リサイクル・非鉄金属事業の経営・技術支援及び
工業英語翻訳者
として活躍中
著書:「地球温暖化は科学を超える」(牧歌舎)
保有資格
・CDMプロジェクト審査・検証員
・環境ISOマネジメントシステム審査員補
・エネルギー管理士
・公害防止(大気・水質1種)管理者
・甲種危険物取扱主任者
・高圧ガス取扱主任者
・ボイラー技士
・衛生管理士
・工業英検2級(翻訳)



 
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