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先進企業のCSR(第22回)-(社)神奈川県情報サービス産業協会 労働福利委員会 プリント
2010/01/17 日曜日 15:32:45 JST

業界あげて労務管理に取り組む
IT活用しメールで無料相談


■労務管理は企業の成長に必須

緊急雇用対策の補助金を適切に申請するにはどうすればいいか、従業員を解雇したいがどんな手順を踏めばいいのか――。労務管理は経営スタッフにとって避けて通れない問題だ。それも専門の部課のない中小企業ほど、経営者自らが大半を処理していかなければならずその負担は大きい。しかも、労務管理は問題を先送りにしたり曖昧な解決方法をとったりすると、後でトラブルに発展することも珍しくない。この数年、個別労使紛争で裁判に発展するケースが急増している。厚生労働省によれば平成20年度の民事上の個別労働紛争相談件数は約24万件、これは前年の2割り増しだ。その理由のひとつとなっているのが、景気の後退とインターネット情報の氾濫による権利意識の向上、それに当事者間とのコミュニケーション不足や、就業ルールの不備である。

■社会保険労務士がアドバイス

従業員の能力を最大限に活用し事業拡大を目指す企業にとって、労務管理は確実に乗り越えなければならない一つのハードルだ。そんな課題にITを活用し業界全体で取り組もうとする試みが始まっている。
IT企業の業界団体、神奈川県情報サービス産業協会は昨年5月より、会員企業300社を対象にインターネットで社会保険労務士に相談する無料の「KIA労務メール相談」をスタートさせた。業界団体がITを使い労務管理で会員全体の底上げを図るケースは全国的に珍しい。同協会の労働福利委員長、板橋哲也氏は「労務問題は外部に相談できない会社も多い。その解決の一助としてスタートさせた」と説明する。相談を受けるのは賛助会員で委員会のメンバーでもある内田哲世氏(内田社会保険労務士事務所代表)。プロの社会保険労務士として豊富な経験を活かし、相談内容を完全秘匿して適切なアドバイスをする。「同業他社に伝わることは決してないので経営陣は気兼ねなく相談して欲しい」と同氏は語る

■転送考えPDFで情報提供

従業員が少ないうちは会社を家族的に考えがちだが、事業の拡大とともに自然と人は増える。最初にきちんとした就業規則を作っておかないと将来のトラブルに発展しかねない。「就業ルールを整備すれば労務トラブルのリスクが軽減させられる」(同)とする。また、企業によっては、多忙を理由に労務管理を経営者が管理職に丸投げしてしまうことも珍しくない。しかし、これでは担当者が一人で悩みを抱えることになる。こうした問題もインターネットのメールを利用すれば、いつでも悩みを相談でき適切なアドバイスを受けられる。「メール相談は管理職にも勧め、KIAの会員パスワードの共有で労務管理の負担を減らして欲しい」と提案する。
一方、労働福利委員会はケーススタディによる労務管理事例研修会に加え年末から労務管理のポイントを解説する「ニュースレター」もPDFファイルで配信を始めた(写真)。
   csr-22-1.jpg
          NEWS LETTERのダウンロード (pdfファイル)

ファイルをメールに添付して送るので、受け取った会員企業は社内の担当者や社員に転送するだけで済み、手間をかけずに労務の基本を周知させられる。
来年4月には「長時間労働の割増賃金」など改正労働基準法が施行される。協会あげての労務管理の向上が横浜のIT業界の全体の底上げにもつながりそうだ。
  (取材協力:社団法人神奈川県情報サービス産業協会)

社団法人神奈川県情報サービス産業協会:http://www.kia.or.jp/
 
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