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ユーザ中心設計のすすめ(第46回)―フェイルセーフとフールプルーフ プリント
2010/01/08 金曜日 09:23:43 JST

今回はフェイルセーフとフールプルーフについてのお話です。皆さんはどちらも耳にしたことのある言葉かと思います。ユーザ中心設計においても非常に重要なキーワードです。間違った認識や使い方をしないようそれぞれの意味を解説いたします。

フェイルセーフ(fail safe)とは

製品、機械、システムにおいて故障や誤操作によるトラブルが発生することをあらかじめ想定し、起こった際には致命的な事故や損害につながらないよう設計するという考え方をフェイルセーフと言います。これは「装置やシステムは必ず故障する。ユーザは誤操作をするものだ。」ということを大前提にした設計思想です。

事例としては以下のようなものがあります。
・自動車のエンジンが故障した際にはエンジンの回転が制御できない状況に陥るのではなく、回転を停止して車が止まるように設計されている。
・転倒すると自動的に消火するよう設計されている石油ストーブ。
・鉄道の踏切は停電した場合には人や車が進入できないよう遮断機が下がるようになっている。
・一定温度以上に達すると温度ヒューズが溶断し、停止するヘアドライヤー。

フェールセーフと似た概念にフェールソフト(Fail Soft)があります。これはトラブルが発生した際に、機能を完全に喪失するのではなく、故障した部分を切り離し正常な部分を稼働させて運用続行するように制御するという考え方です。

フールプルーフ(fool proof)とは
フールプルーフとは、製品、機械、システムの設計において、ユーザが誤った操作をしないように配慮し、万が一誤った操作をした場合でも故障したり危険な状況にならないように設計するという考え方です。ユーザは使い方を理解していない状態でも操作しますし、熟知している場合でも集中力が低下すれば操作を誤ってしまうものです。そういった場合でも安全性が確保できるよう事前に対策を講じておくことがフールプルーフの考え方です。

事例としては以下のようなものがあります。
・バッテリーが正しい向きにしか入らないよう設計されたデジタルカメラ。
・ドアが開いた状態では加熱できない電子レンジ。
・ギアがドライブに入った状態ではエンジンが始動しない自動車。
・フタを閉めないかぎりドラムが回転しない洗濯機。
・人が座った状態でないと動かないウォシュレット。

ユーザインタフェースにおけるフェイルセーフとフールプルーフ

弊社の受託開発案件で、人命に関わる部分の設計に係わることは殆どないのですが、GUIのデザイン設計では、ユーザに損害を与えないよう配慮をすべき場面は多くあります。たとえば、あるソフトウェアにおいてデータを削除する際にはうっかり誤って削除しないように「本当に削除しますか?」と確認のメッセージを出したり、もしくは一旦削除フォルダ(いわゆるゴミ箱)に入れておくといったような配慮です。入力フォームに氏名や住所、電話番号等を入力する際にも、入力漏れがあっても最初から入力やり直しを求めるのではなく、入力漏れの部分を明示してそこに入力すればOKとするなどもフールプルーフと言えるでしょう。

このように、「ユーザは誤操作をするものだ。」ということを前提に、設計の段階で安全対策を施しておくことは非常に重要です。

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筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。

株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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