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先進企業のCSR(第21回)-(株)豊商会 プリント
2009/12/14 月曜日 20:42:20 JST

地域の安心安全を事業に取り込み
ガソリンスタンドが防災拠点に

■震災時も無傷で残る
全国で毎年1300~1000件ものガソリンスタンドが転廃業している。ガソリン需要の減少と、それに伴う価格競争の激化がその理由だ。さらにハイブリットカーの普及や電気自動車の登場で、今後よりいっそうの需要減が確実視される。そんななかCSRの理念を事業戦略に取り込み着実に業績を伸ばしているガソリンスタンドがある。県内に直営12店、卸9店を展開する豊商会(西区高島)である。その発想の原点はガソリンスタンドの立地と特徴にある。
csr-21-1.jpg後藤元信社長は「スタンドは燃料タンクを地下に埋設するため他業種のように店舗を容易に移転できない。いかに地元に溶け込めるかが大切だ」と語る。じつは同社の売り上げの7割がリピーターで、その大半を周辺住民で占める。そこで力を注いでいるのが安心と安全だ。小学校が近くにあれば登下校する子供たちの駆け込み110番ともなる。なかでも大きな役割を担っているのが震災時の防災拠点としての活用で、ガソリンスタンドは消防法で厳しく規制されているため安全性が高く、阪神大震災のさいも無傷で残っている。そこで同社は直営店のうち2店で町内会の求めに応じタンカーやリヤカー、飲料水などの防災用品の備蓄を行った。「備蓄支援は他地域にも広げたい。整備用に発電機も備えているので大半のスタンドは震災時の停電に対応できる」とする。

■電気自動車も扱う
一方、石油元売会社と現在共同で行っているのが電気自動車の実証実験だ。これは充電装置をスタンドに設置して電気自動車を貸し出し、その利用データからカーシェアリングの可能性を探るのが狙いだ。カーシェアリングとは1台のクルマを何人もの会員で所有し、必要なときだけ使用しあうシステムで、マイカーと比べて維持費がかからず省エネ化にもつながるメリットがある。電気自動車はガソリンの売り上げに結びつかないが、しかしこれを地域社会への貢献という視点でみると、そこに新たな事業展開が生まれてくる。

■生き残りにCSRは不可欠
後藤氏は「ガソリンスタンドの経営はこれからますます難しくなる。生き残るためには戦略が必要だ。そのベースにCSRの理念をおくと視野が広がる」と説く。たとえば、同社はコンプライアンス(法令順守)として各種の資格を持った従業員が接客することを義務付ける。これにより顧客に安心感を与えられるだけでなく整備などの需要も取り込めるようになる。また高齢者雇用では、閑散な時間帯に採用することでコストダウンにもつなげられる。さらに環境負荷の低減でCo2の少ないハイオクなどの販売に力を入れ、高単価商品の売上にも結びつける。「価格競争に巻き込まれず事業を拡大するには、ガソリンスタンドを中心に地域社会が安全で明るくなるよう考えることが大切」と同氏は語る。ISO1401も認証取得しており先進的なガソリンスタンドとして今後注目されそうだ。
                                (取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)
(株)豊商会:http://www.yutaka-shokai.co.jp
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