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“横浜を知財のメッカに”横浜企業経営支援財団 吉田正博事務局長に聞く プリント
2007/10/01 月曜日 20:19:12 JST
          インタビュー:(財)横浜企業経営支援財団 吉田正博事務局長

yoshida.jpg  (財)横浜企業経営支援財団(IDEC)は本年4月に(財)横浜産業振興公社から名称を変更し、その活動も第2ステージに入ったという。そのひとつの表れが9月18日に発表した㈱知財マネジメント支援機構(IPMAX)との業務提携だ。
 IDECが今後どう発展していくのか、その目指すところを吉田正博事務局長にうかがった。

企業の成長には知財の活用が鍵
 「横浜の企業は知財経営で全国のフロントランナーとなって欲しい。それをIDECが支援したい」そう吉田氏は語る。
 知財とは、もの作りの技術やノウハウ、アイデアなどの知的財産のことで、知財経営とは、この知的財産をどう育て、どう活用し、また経営のなかに戦略的にどう位置付けるのか、ということなのだという。
 たとえば、新しい技術を生み出した時がそうだ。経営者ならこの新技術に「特許を取るべきか、それとも秘匿すべきか」と判断に迷うのではないだろうか。
 また新製品を開発する時も同じである。「テーマが学術的すぎて自社だけではどうしても研究しきれない」あるいは、商品化にあたって「どのようにブランドを構築すればいいのかわからない」というように、その知財をどう活かせばいいのかわからないことがある。
 IDECはこんな時に力を貸したいのだという。吉田氏は「知財と経営は密接な関係にある。これを一体化させれば、その企業の将来も変る」と指摘する。

「知財は人材だ」とは
 今回のIPMAXとの業務提携はこの知財経営の支援を強力に補完している。IPMAXは市内のベンチャー企業や中小・中堅企業の知的財産戦略を策定し、その実施までを支援するのを目的に設立された会社なのである。いうまでもなく、知財についてのノウハウを持つだけでなく実務経験者も数多く抱えている。
 そこで、同社と提携することでIDECは実務経験者を受け入れ、共同で中小企業にアドバイスできるようにしたのだ。
 さらに、IDECは横浜市の「横浜価値組企業認定事業」で優良企業として認定された会社に対して「知的資産経営報告書」を作成し、その商品化に向けた研究開発や、ブランド戦略作りなどを総合的に支援することも計画している。
 「IDECは、“価値組企業”が大ヒット商品を生み出すサクセスストーリーを1社でも多く作りたい。そのための支援なら惜しみなくしたい」(吉田氏)という。つまりIDECは創造的な企業にとってまさに強力な“助っ人”なのである。

全国の大学を対象に産学連携!?
 一方、産学連携もこれまでより大きく変りそうだ。IDECでは企業と共同で研究開発を行う大学を市内の理工系大学9校に絞っていた。しかし、対象とする大学をさらに拡充させる意向なのだ。
「 将来は全国の理工系大学とネットワークを作りたい」と吉田氏はその構想を語るが、当面は産学連携の対象となる大学を市内から県内に広げている。
 大学との連携は「リエゾンプロデューサー」が企業側のニーズを汲み上げ、それに適した大学の研究者を探すことでベストマッチングを可能としている。ただ、これだけではすべてのニーズに応えることが物理的に難しい。
 そこで、IDECでは各大学の産学連携コーディネーターとのネットワークを構築することで、より大学の研究室の情報を的確につかめるようにしようと考えているのだ。
 「他県の人から、横浜は市内に理工系大学が多いから産学連携がうまく行くように言われることがあるが、それは違うと思う。たしかに、シーズには恵まれているのかもしれないが、要はそれをどう実際に活かすかだろう」(同)と語る。

金融機関が結ぶ10万7千社のネットワーク
 ところで、IDECでは8月31日にもうひとつの業務提携をしている。それは横浜銀行と三井住友銀行の2金融機関との提携だ。目的は金融機関のもつサービスやネットワークを活用した中小企業の経営支援なのだという。
 たとえば、横浜銀行とは中小企業向けの人材育成システムの共同開発や人材派遣(IDECの融資業務に銀行がベテラン行員を派遣)、また中小企業向けの法律相談会や税務相談会なども同時に開催する予定だ。
 一方、IDECでは金融機関の顧客向けに中国・上海の拠点から海外の投資情報を提供し、ビジネスチャンスを作り出したいという。
 吉田氏は「中小企業などともっとも深いパイプを築いているのが金融機関。提携することで互いに協力し合えば、今後さまざまな支援情報を市内10万7千の事業所に伝えることも夢ではない」と言う。さらに年内には提携金融機関を3大メガバンクまで広げたい意向だ。
 第2ステージに入ったIDECが目指すのは、さまざまなネットワーク作りだというが、そこに生まれる情報の流通は、今後大きなポテンシャルとなって市内の中小企業にフィードバックされそうだ。

  (財)横浜企業経営支援財団 http://www.idec.or.jp/


 
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