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AEC(ASEAN経済共同体)への戦略的アプローチ!(その4) プリント
2015/12/24 木曜日 13:11:45 JST

去る112122日、クアラルンプールで開催されたASEAN首脳会議においてクアラルンプール宣言が採択され、この中で予定通り「ASEAN経済共同体(AEC)を20151231日に設立する」と正式に宣言された。

本年に入り、AEC設立を視野に日本からの投資を勧誘する為のASEAN各国からの官民をあげてのミッションの訪日が相次いでおり、地域発展に向けた日本からの投資に対する熱い視線を感じる。

本特集その13では、主に日本というか神奈川県からASEANを眺め、前号では横浜港からASEAN各国への輸出取引の実態を把握したが、本号では民間企業の対外経済活動では輸出取引(貿易取引)と両輪をなす資本取引のうち対外直接投資について考えてみたい。

 1.日本の国・地域別対外直接投資(FDIForeign Direct Investment)の推移

  対外直接投資とは、日本企業による外国企業への資本参加や買収、外国企業との合弁会社設立、独資による子会社設立、工場進出など、海外に保有する資産への投資である。

  前号での貿易取引については横浜港からの輸出統計を使用したが、FDIについては都道府県別のデータが無く国全体のデータしか公表されていない為、ここでは全日本ベースの直接投資実績を使用する。

  表-1は、日本のFDIの推移を、円の対ドル為替レートが90円台へと円高に振れた2009年と、アベノミクスにより80円前後から100円台を望める円安傾向が定着した2013年の投資実績を投資先国・地域別に示したものである。

  また、2014年数値は、国際収支統計の基準変更後のものである為、2013年以前の数値との連続性が無いことに注意を要するが、円安が更に進んだことに加え、投資先別シェアーが大きく動いたことが理解される。

      日本の国・地域別FDIの推移(単位:100万ドル)【表-1

 

投資総

ASEAN

ASIA

NIES

中 国

米 国

E U

2009

74,650

7,002

5,907

6,899

10,660

17,039

地域別%

100%

9.4%

7.9%

9.2

14.3%

22.8%

2013

135,049

23,619

8,955

9,104

43,703

30,999

地域別%

100%

17.5%

6.6%

6.7%

32.4%

23.0%

2014

119,727

20,367

13,942

6,741

42,113

24,596

地域別%

100%

17.0%

11.6%

 5.6%

35.2%

20.5%

  ※出典:JETRO

2.FDI総額における2009年から2013年への急増の背景

  FDI急増の要因は、先ずは急激な円高による輸出競争力の低下が、特に国内製造業の生産機能の海外移転、グローバルべースでのサプライチェーン構築を含む海外進出を誘引、一方では、円高をチャンスと捉えた海外企業の買収、更には資源開発への巨額の投資も大きな要因と考えられる。

また、2010年の中国における反日暴動をキッカケとした中国リスクのヘッジ先としてのASEANへの投資も、円高が日本企業の背中を押したとも言えよう。

同時に、少子高齢化による国内市場の先行きを見据えた海外消費市場への橋頭保作り、いわば地産地消の海外版とでもいえる動きが製造業・非製造業を問わず加速したことも無視できないと思う。                        

3.日本の対ASEAN各国別FDIの推移

-1においては、大企業のM&Aなどで巨額投資が向かう米・EUとは異なる背景から、脱中国・入ASEANの傾向が顕著になったことを示している。

そのASEAN域内においても各国それぞれの経済力・産業優位性・成長性などを反映して資本の投下先は様々だが、表-2は、域内各国間のシェアーの変動や各国それぞれの外資受入れ先として優先度の高い産業分野につき、製造業に絞った累積投資残高のTOP3を示したものである。

なお、ブルネイ・カンボディア・ミヤンマー・ラオス4ケ国については、これからの投資先としては充分考慮すべきだが、2013年段階では投資残高も極小であり、4ケ国の合計値のみの表記に止めた。

日本のASEAN各国別FDIの推移 (単位:100万ドル)     【表-2

 

2009

域内比率

%

2013

域内比率

 (%)

累積投資残高における投資分野のTOP3

 ASEAN

7,002

 -

23,619

  -

シンガポール

2,881

41.1

3,545

15.0

①食品②化学・医薬 

③電気機械器具

タイ

1,632

23.3

10,174

43.1

①輸送機械

②電気機械器具

③鉄・非鉄・金属

フィリピン

809

11.6

1,242

5.3

①電機機械器具

②食品③鉄・非鉄・金属   

マレーシア

616

8.8

1,265

5.4

①化学・医薬

②電気機械器具

③一般機械器具

ベトナム

  563

8.0

 3,266

13.8

①輸送機械

②電気機械器具

③鉄・非鉄・金属

インドネシア

  483

6.9

3,907

 16.5

①輸送機械

②化学・医薬

③電気機械器具

その他4ケ国

16

 0.3 

  220

 0.9

  ―

※出典:日銀国際収支統計

4.外資受入れ業種の分析

累積投資残高において製造・非製造業トータルで見た場合、シンガポールの35%を例外として各国とも70%前後が製造業への外資受け入れとなっている。

日本の投資先を世界全体に広げてみると製造業の比率は50%を切っており、それだけASEANでは製造業へのウエイトが高く域内製造能力を質量ともに高めるとの方向性を示している。

これは全体として見れば、ASEAN地域が中所得国群から高所得国群へ発展してゆく途上にあると言えるわけで、将来的には経済成長に伴ってサービス産業のウエイトが高まり、非製造業への投資機会が増えてくるものと思われる。

因みに非製造業に分類される業種は、農林水産業・鉱業といった一次産業を別にすれば、建設・運輸・通信・流通・金融・不動産・サービス業が分類されており、この分野が業種によって程度問題ではあるが、外資に開放されるにはまだまだ年月を要するものと思われる。

但し、先進国のシンガポールは正に例外であるが、卸売・小売業がNO.1の外資受け入れ業種となっていることは注目に値する。

また現時点でも大半の国において、特に金融・保険業への投資残高が上位にあるが、この点は1997年のアジア通貨危機を経験していることや、経済のグローバル化を背景に各国とも国内経済を支えるインフラ的な分野としての金融機能の国際化を優先したものと理解される。

次号以降においては、各国投資勧誘ミッションについての情報をお届けしたい。

(以下、次号)

(文責 今井周一 平成271220日)

 

お知らせ】 

国際機関日本アセアンセンターは、駐日ミャンマー連邦共和国大使館と共に、2016225-31日「ミャンマー投資環境視察ミッション」を派遣します。

ミャンマー南部は、バンコクの西300kmの「ダウェイ経済特区」をはじめ、水産物、鉱物、天然ガスなど資源も豊富な有望エリアです。タイへのアクセスとインド洋に面する地理的優位性、低廉な労働力により、労働集約型産業の新たな製造拠点として注目を集めています。 

【期 間】  2016225日 ― 31

【訪問地】  ダウェイ、ミェイ、ヤンゴン

【参加費】  199,000円 (ヤンゴン集合・解散) 

【締切日】  2016123日(土)

 詳しい日程表・お申込みはこちらをご覧ください。

http://www.asean.or.jp/ja/invest-info/eventinfo-2015-55/

以上

 
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