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先進企業のCSR(第20回)―(株)野毛印刷社 プリント
2009/11/30 月曜日 11:03:48 JST

環境投資で業績を伸ばす
"創注型営業"で顧客開拓


■すべてISO14001から始った
csr-20-1.jpgエコに特化することで業績を伸ばし、環境対策で業界屈指の存在となった印刷会社がある。水なし印刷で有名な野毛印刷社(南区新川町)だ。じつは、同社のCSRは品質向上と取引先の拡大を狙ったISO14001の認証取得から始っている。田中浩営業部長は「企業理念は常に一歩先を考えた投資を行うこと。環境ISOの14001は取引先との関係から印刷業にも今後必ず必要になると思った」とその動機を語る。
認証取得にあたり環境側面の向上で取り組んだのが、オンデマンド印刷と水なし印刷だ。オンデマンド印刷は顧客が必要な時に、必要な部数だけ印刷する方式で、大量一括印刷のムダを省き、パルプ原料の省資源化と印刷コスト削減にもつながる。一方、水なし印刷は水や溶剤を使用しない方式で、これまでより微細な色表現ができるとともにCO2やVOC(揮発性有機化合物)の発生を抑えられ、有害廃液を排出しない特徴がある。
さらに、印刷用紙にはFSC(森林管理協議会)のCOC認証も受けた。これは印刷用紙に環境保全を行っている森林のパルプを使用していることの証で、FSCはその管理を行う国際的な機関だ。

■企業イメージが向上

一般に、こうした認証取得や新規事業は時間と経費がかかり、中小企業には負担となる。とくに価格競争の激しい業界は費用対効果を考えると、認証メリットを含めて二の足を踏むことも多い。しかし同社は2000年以降、環境投資を重要視してこれを実施した。それまでこうした取り組みは印刷業界でもあまり例がなく、先駆け的な存在となった。この読みは的中する。同社と歩みを合わせるように企業の環境志向が高まってきたのである。ことに大手企業ほど熱心で、環境報告書を制作し取引先にも同様の意識を求めるようになった。これが追い風となり同社には問い合わせが相次ぎ顧客も急速に広がった。

■顧客と一緒に考える営業
現在行っているのが"創注型営業"だ。「取引先からの見積もりを待っているのは受注型。その前段階から参加して受注を創出するのが創注型」と田中氏は説明する。印刷物によってはWebで情報発信したほうが効率的に伝達できることもあるし、またオンデマンド印刷で少量多品種化したほうが、より適切に伝わることもある。「情報発信の前段階から参加することで、どうすればコスト削減に結びつき、環境にも配慮できるか、顧客と一緒になって考えることができる」とする。すでに社内にはWebチームも立ち上げ、印刷以外の事業にも力を入れる。
経営ビジョンは印刷だけでなく情報を総合的に扱う企業を目指す。一方「環境側面から事業を構築すると結果的にCSRに結びつく」とも田中氏は指摘する。たとえば環境に配慮した行動は仕事から家庭に引き継がれ、知らず知らずのうちにゴミの分別回収なども徹底されるようになったという。同社の今後の創注型営業が期待されそうだ。

(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)

㈱野毛印刷社:http://www.noge.co.jp/
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