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ヨコハマの環境力(第2回)-横浜市地球温暖化対策推進協議会会長 中原秀樹氏 プリント
2009/06/11 木曜日 19:48:51 JST

CO₂削減に市民力と企業力
横浜はもう一度原点に戻れ


■ガリバー旅行記が教えてくれること
17世紀の作家スウィフトが著した『ガリバー旅行記』は、小人の国リリパットが登場することで日本人に馴染み深い。じつは、この旅行記にはもうひとつラピュータ国という空飛ぶ島も描かれている。人気アニメ作家がこれに触発され、ラピュタという架空の国を思いついたことでも有名だ。この空飛ぶ島に、作者スウィフトは科学万能主義への批判を込めたとされている。
横浜市地球温暖化対策推進協議会会長 中原秀樹氏「CO₂の排出量は18世紀の産業革命以降、顕著に増加する。科学がもたらす負の側面を作者はいち早く予見し、社会に警鐘を鳴らしている。私は温暖化問題を学ぶ学生たちに必ずガリバー旅行記を読むよう勧めている」。東京都市大学の環境情報部教授で、横浜市地球温暖化対策推進協議会(以下協議会)で会長を務める中原秀樹氏はそう語る。

■定評ある草の根活動

協議会が発足したのは2002年。本格的な活動を開始したのは3年前からだ。会員数は現在170で昨年から急激に増えた。その半数以上が個人会員である。「財政基盤のない活動は長続きしない」と中原氏は指摘するが、運営費は潤沢とはいえないものの会費収入と寄付金で賄っており、まさに市民の手による温暖化抑制活動といえる。「本来、CO₂の排出量削減は行政が施策として取り組むべきこと。しかし、市民や企業にもできることがある」と同氏は言い切る。
協議会は現在NPOや市民、それに企業の力を結集すればCO₂を確実に削減できると考え、その両者を取り込んだ活動を行っている。なかでも、草の根的な活動には定評がある。具体的には、小学校に出向いてセミナーを行う出前講座や、区民祭りといったイベントで実施する“ストップ温暖化キャンペーン”などだ。つねに生活者の視線を大切にしているのが特徴だろう。

■CO-DO30の実現に注力
いま、最も力を入れているのが、市の温暖化対策の指針CO-DO30(コード30=2025年度までにCO₂の排出量を1990年度比で30%以上削減する)の支援だ。先ごろ開かれた協議会の総会では、これを踏まえた事業計画を承認した。そのひとつがシンポジウムと講演会の開催。これは、有識者を招き温暖化対策の重要性を市民や事業者に訴えるもので、年数回計画している。
また、CO-DO30取組コンテストも予定し、CO₂を大幅に削減した家庭、団体、企業などを表彰する。さらに調査事業では、市営地下鉄の全駅に設置されている飲料用自動販売機の消費電力を調べて、その環境負荷についても提言する。今年度から市の担当部長を協議会の副会長に引き込み体勢も強化した。
「今年は開港150周年にあたる。これを機に市はもう一度横浜の原点にもどり、開港当時の英知ある古人のようにエネルギーの地産地消や、ゴミの完全リサイクルなど、他地域に頼らない独自の環境都市づくりを考えてもらいたい。それでこそ全国に先駆けた横浜モデルができる」と注文をつける。市内にこのような市民力と企業力をあわせ持つ団体は類がなく、これから低炭素化社会を目指す横浜市の中核的な存在となりそうである。

横浜市地球温暖化対策推進協議会
http://www.city.yokohama.jp/me/kankyou/ondan/kyogikai/

<過去の記事>
第1回 温暖化対策は「選択と集中」
市民力と企業力の相乗効果でCO2を削減
横浜市地球温暖化対策事業本部地球温暖化対策課長 髙橋俊和氏


 
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