ユーザ中心設計のすすめ(第3回)-ハイブリッドレコーダーのGUI事例 |
2008/04/27 日曜日 07:38:30 JST | |
第3回は、ハイブリッドレコーダーのGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を取り上げます。今回は良い例を取り上げてみました。 ===================================== 本編 ===================================== タイトル:戻る操作もサクサクできる~SonyのHDD搭載DVDレコーダー~ SonyのHDD搭載DVDレコーダーRDR-HX10の電子番組表(EPG)画面でのお話です。 電子番組表(EPG)とは、テレビの画面に番組表を表示し、リモコンで録画予約などが行えるものです。 写真の状況は、番組表で録画したい番組を決め、リモコンの決定ボタンを押してメニューが表示されたところです。当然、ここで一番頻度が高く重要な目的となる「録画予約」が選ばれています。これにより、非常にスムーズに録画の予約が行えます。さらに良く見ると、「録画予約」の上に「閉じる」という項目が並んでいます。実は、これが非常に便利なところなのです。 普通「閉じる」や「戻る」などはメニューの最下位に表示されることが多く、誤ってメニューを表示させてしまった場合などは、これを閉じるためにリモコンの下キーを連打することになってしまいます。これでは、操作に手間がかかったり、更にリモコンの反応が鈍いとイライラしてしまいます。私は今回のレコーダーに限らずこういうことをよくやってしまいます。 しかしこの機種では、「閉じる」が最初に選ばれている項目のすぐ上にあるため、リモコンの上キーを押してサブメニューが簡単に閉じられるのです。このように、メニューの並び順が考えられていると、進む(決定する)操作も戻る(閉じる)操作もとても楽にできます。地味ですがいい味出してると私は思いました。 ===================================== 解説 ===================================== 「ユーザは必ずミスタッチや勘違いなどによる誤操作を起こす」ということを十分に配慮した好例です。 特にこうした戻る操作が簡単に出来ないと、毎日使っている中で非常にストレスがたまっていくことになります。 これは(フォーカス下に並んだ)通常のコマンドへのアクセス性を損なうことなく、誤操作時の高い操作性を実現していて、目立ったトレードオフもほとんど無いという点で非常に素晴らしい例と言えます。 こういう例をみると、ユーザインタフェースって、結構簡単に向上するものなんだと思っていただけるのではないでしょうか?エンジニアの皆さんのちょっとした気づきと配慮の積み重ねが、ユーザインタフェース向上には不可欠なものと言えます。 ※本編部分は使いやすさ研究所<http://usability.novas.co.jp/>の使いやすさ日記(No.227)より一部加筆修正して転載。 「ESEC第11回組込み開発技術展に出展のご案内」 U'eyes Designは、来たる5/14-16に東京ビッグサイトで開催される、ESEC第11回組込み開発技術展に出展いたします。 出展内容は、弊社が6月から開始するエンジニア向けの専門セミナー「エンベデッド開発技術講座」のご案内です。 弊社の20年近くの実績で培われたユーザ中心設計ノウハウを、惜しみなく注ぎ込んだ内容となっております。 詳しくは、以下のサイトをご参照ください。 ※U'eyes Designのコーポレートサイト:<http://ueyesdesign.co.jp/> (ニュースリリースに「エンベデッド開発技術講座」のリンクがあります) ※ESECの公式サイト:<http://www.esec.jp/> ※出展ブースNo.: 東ホール 東45-23 ================================ 過去記事 ユーザ中心設計のすすめ(序論)ーこれからの開発力を身につける ユーザ中心設計のすすめ(第1回)-携帯電話のwebコンテンツ事例 ユーザ中心設計のすすめ(第2回)-バスの総合案内システムに関する事例 筆者プロフィール 龍淵 信 1963年生、1986年法政大学工学部建築学科卒業後、工業デザインを勉強。 1992年株式会社ノーバスに入社。2001年4月にグループ会社の株式会社ユー・アイズ・ノーバスの設立に参画。 2005年10月グループ会社である株式会社U'eyes Design(ユー・アイズ・デザイン)の執行役員を経て、2007年10月よりノーバスの経営戦略室とU'eyes Designのシニアアドバイザーを兼務。現在に至る。 携帯電話などのコンシューマ製品、公共機器、OA機器のユーザインタフェース開発およびユーザ評価・調査に数多くかかわり、特に自動車用システムは、ここ10年ほどで150ほどのプロジェクト実績を持つ。 株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp |