インタビュー:情報サービス産業とは①-ジスクソフト㈱代表取締役 冨澤清氏 |
2011/09/01 木曜日 17:12:01 JST | |
既報のとおり、神奈川県情報サービス産業協会は県内の10大学に講師を派遣し、業界の将来性について語る「SE(システムエンジニア)講座」を開催している。テーマは毎回さまざまだが、いずれも学生に熱く訴えかける内容だ。同講座を踏まえ、市の主要産業のひとつである情報サービス産業について、2回にわたりインタビューを掲載する。 ――冨澤氏がIT業界に入った1970年代、ソフトウェアはようやくその価値を認められ始めた頃だったという。しかし、その後コンピュータは長足の進歩をとげ、今ではITと呼ばれ社会に不可欠な存在となった。成長をつづける情報サービス産業界の現状と将来はどのようなものか、豊富なデータをもとに同氏はその実像を語る。
■モノ同士が通信する時代
■"人"を大切にする頭脳集約型の産業
「情報サービス産業は大きく①ソフトウエアの開発業、②情報処理・提供サービス業、③インターネットの付随サービス業に分けられます。付随サービスのなかにはセキュリティサービスや、課金決済代行業務なども含まれます。まさにITの中核を担っているわけです。それだけに業界の総売上高は全体で21兆5千億円(09年)。過去9年間ほぼ毎年成長を続けています。従業者数も現在(同)96万人でやはり拡大傾向を続けています。
■得意先は製造業と金融・保険で4割 「業界各社の09年の契約先を見てみましょう。目立って多いのが製造業と金融・保険業です。ともに2割近くを占め両者でほぼ40%。IT投資が必要なのか、IT化せざるを得ないのかいずれにせよ活発です。次に多いのが情報サービスの同業者です。これが全体の19%となっており、元請けと下請の関係が強いことを物語っているようです。このほか流通業の卸売や小売業は7%、公務7%となっています」
■健保・年金の充実が県内企業の特徴 「全国の数値や県別の動向、それに国内比率から推測すると。県内の情報サービス業は約1500社、総売上高は1兆7千億円。従業者数約8万人です。なお、私が副会長を務めている神奈川県情報サービス産業協会は正会員276社、社員数5万3千人です。これほどの規模を持つ同業者団体は東京を除いて他県にありません、このため県には業界独自の健康保険組合と厚生年金基金が完備されています。ITの世界で働きやすいだけでなく、福利厚生が充実していることもわかると思います」 ――ソフト開発は海外での開発も多と聞く。最後に海外の動向についても紹介した。
「ある調査によりますと、国内のソフト開発会社が今後展開を検討している国は、中国、ベトナム、インド、韓国、フィリピンなどです。"やはり中国かあ、GDPの伸びも凄いし"と思うかもしれません。たしかに調査した事業者の45%が中国をあげています。
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