レポート-地中熱研究会③ |
2011/07/05 火曜日 07:56:10 JST | |
地中熱交換には主に3つの方式
横浜企業経営支援財団は6月17日、第2回横浜地中熱研究会を開催した。テーマは「地中熱ヒートポンプシステムの構成とシステム設計」(三菱マテリアルテクノ資源・環境・エネルギー事業部ドリリング部、石上孝氏)と、「地中熱利用技術を含むサステナブル建築の先導事例」(慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科、伊香賀俊治教授)。
■地中熱のCOPは4~5 また、地中熱交換器から供給する熱と、空調機などで必要とする熱の温度差が小さければ小さいほど、冷媒の圧縮と膨圧を最小限に抑えられるため、ヒートポンプの電力消費量を少なくできるという。システム設計はこれに注目し、夏場の空調、床暖房、温水プールなど地中熱と温度の差の少ない2次側の利用を考えることが大切とした。
■コストを考えた3つの方式
基礎杭方式は基礎杭の鉄筋籠の外側に数組のUチューブを垂直に取りつけ、基礎杭とともに地中に埋め込む方式。熱交換器用の掘削が不要となるのでイニシャルコストを削減できるが、基礎と抱き合わせのため施工精度の確保が求められる。
また、国内の技術動向も紹介した。そのひとつは、北海道大学が設計・性能予測ツールとして開発した「Ground Club(グランドクラブ)」で、地中熱交換器を設置する際の基本設計に利用できるという。
■CO2の40%は建築関連
セミナーでは同氏が設計・性能を検証したケースとして、環境に配慮したサステナブル建築8例を紹介した。それは太陽熱と地中熱を利用した「日建設計飯綱山荘や、地中熱によりCO2を17%削減した「国際協力機構北海道国際センター帯広」など。また井水利用によるヒートポンプシステムとしては「山梨県環境科学研究所」をあげた。
三菱マテリアルテクノ㈱:http://www.mmtec.co.jp/ |