ユーザ中心設計のすすめ(第61回)―携帯電話 |
2010/12/14 火曜日 15:13:28 JST | |
みなさんは携帯電話をいくつお持ちでしょうか。人によっては、2台、3台お持ちの方も ユーザ中心設計と携帯電話とは重要な関係があります。1990年あたりから、携帯電話に液晶画面が付加され、さらに1998年頃からGUI(グラフィカルユーザインタフェース)が採用されるようになりました。初期の携帯電話は、ユーザインタフェース設計に慣れていないメーカーからは、非常に使いにくい製品が発売され、弊社も、この使えない製品を改善するための開発支援に携わっておりました。エンドユーザにストレスなく心地よく効率的に使ってもらえるものに仕立て上げていくという、正に「ユーザ中心設計」を実践していた訳です。 ほぼ全国民が携帯電話を使っている現在では、使いにくい携帯電話は、国民の生産性を下落させるといっても過言ではないでしょう。では、ユーザが友達にEメール文を作成して送信するという作業効率が1割向上、すなわち操作時間が90%になったとしたらどうでしょうか。 少し乱暴ですが試算してみましょう。WEBを調べてみると、一日のメール送信が3~5通の人が多いとのことなので、平均して一人4通送信するものとします。メール1通の操作時間を1分と見積もると一日あたり4分メール送信に時間を費やしていることになります。この4分を労働者の平均時給2000円で換算すると133円。1年では約48500円です。つまり労働していれば、48500円の収入になる時間をメール送信に使っていることになります。携帯電話の使いやすさが向上して、メール送信に費やす時間が90%になるだけで、一人当たり年間で4850円の経済効果となるわけです。これをなんと全ユーザ数で換算すると約5千億円となります。いかに操作性の向上が重要かがお判かりかと思います。 当然、現在の携帯電話の姿が最終形態ではありません。操作デバイス、表示デバイス、ソフトウェア等、日進月歩進化して行きます。携帯電話が優秀な秘書のごとく「あうん」の呼吸で、情報提供やアドバイス、ナビゲートしてくれる時代が必ず到来するものと期待しています。 *本コラムに関するご質問、ご感想や業務のご相談などもお気軽にどうぞ。
http://www.ueyesdesign.co.jp/contact/index.html
筆者プロフィール |