ユーザ中心設計のすすめ(第51回)―エコデザイン |
2010/03/25 木曜日 21:42:19 JST | |
今回はエコデザインについてのお話です。 エコデザインとは 最近、皆さんもよく耳にする言葉かと思います。ちょっとネットで検索してもかなり多くのサイトが引っかかりますので一般的な言葉になっているようです。このエコデザインの意味ですが、簡単に言うと、「環境に配慮して製品やサービスを設計すること」です。ただし製品やサービスそのものだけではなく、資材調達、製造システム、物流システム、廃棄に至るまで、製品のライフサイクルのすべてにおいて環境に配慮することが重要と言われています。 地球環境問題の現状 2007年環境省発表「IPCC第4次評価報告書」において、20世紀半ば以降の世界平均気温の上昇は、その大部分が人間活動による温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高いと結論づけています。また今後20年で0.4度の気温上昇が起こると予測されています。 この平均気温の上昇の要因であるCO2排出量の増大は産業活動によるエネルギー消費が主な原因ですが、個人の民生活動ももう1つの原因であると言われています。現状ではCO2排出量が目に見えないため、当事者は環境にどのくらい悪影響を与えているかがよく分かりません。また、環境に負荷をかけていない人にも悪影響が及ぶという問題もあります。 ユーザ中心設計におけるエコデザイン ユーザ中心設計の基本姿勢に則り、ユーザを調査してニーズにマッチしたデザインで製品化した結果、環境に良くないモノになる場合もあります。例えば、携帯電話のデザインを実施したとします。それはユーザにとって、とても使いやすく魅力的なデザインのためヒット商品となりました。ただし、これには環境に良くない塗料が使われていたり、リサイクルの困難な金属や樹脂によってデザインされていたとします。デザイナーはユーザのニーズを考慮してデザインしたにもかかわらず、結果的にはエコでない製品になってしまったといったような場合です。 このような事態に陥ることのないよう、ユーザ中心設計においては使いやすさの配慮だけではなくエコデザインの考え方を取り入れていくことは必須だと考えます。 GUIにおけるエコデザイン GUIとエコとの関係って何だろうと不思議に思う方が多いかもしれませんが、実は色々な製品のGUIで「エコの見える化」が実現されています。たとえば、ハイブリッド自動車などのエコカーでは、インパネの画面上に燃費やエコ度合いをグラフィカルに見せることでユーザに判りやすく知らせる工夫がなされています。たとえば、優しい運転を継続すると植物の葉が増え、逆に燃費に悪い運転をすると植物が少なくなり、枯れていくといったような表現のものです。 最新の三菱電機のテレビにおいては、省エネ設定時と省エネ設定を行わない場合を比較して、どのくらい電気代やCO2の排出が削減できたかを累積で表示する「ECOモニター」や、使用中の消費電力や省エネ設定状況を葉っぱのアイコンで表示する「ECOメーター」機能が付いています。 環境に対する設計者やデザイナーの使命 1.製品そのものがエコデザインであるよう配慮すること 2.使用するユーザに対して省エネを喚起させるデザインとすること 3.自ら人としてユーザとして率先して省エネやエコ活動を実践すること 以上の3点を、筆者自身も心がけて活動してゆきたいと考えます。 参考:あなたのエコ度を判定いたします。下記ページの「判定」ボタンを押してください。 http://www.ueyesdesign.co.jp/report/f091127_eco/index.html *本コラムに関するご質問、ご感想や業務のご相談などもお気軽にどうぞ。 http://www.ueyesdesign.co.jp/contact/index.html の「業務全般のお問い合せ窓口」よりご連絡ください。 みなさまの声をお待ちしております。 ===================================== 【お知らせ】 1.「モノ・コト尺度」でユーザをセグメントいたします。 <ご案内サイト> http://www.ueyesdesign.co.jp/service/service_scale.html 2. Android搭載携帯電話(HT-03A)のユーザビリティ評価レポート好評販売中! <ご案内サイト> http://www.ueyesdesign.co.jp/report/p090616_android.html ===================================== 過去記事一覧(第1回~第50回) 筆者プロフィール 鞆 幾也 (TOMO, Ikuya) 1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。 1990年 株式会社ノーバス設立に参画。 2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。 (2005年10月株式会社U'eyes Designに移管) 2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。 現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。 医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。 特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。 UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。 株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp |