「テクニカルショウヨコハマ2010」レポート(1)-大学の"知"が結集!
2010/02/08 月曜日 09:30:34 JST

キノコの収穫量が2倍になる技術から
蓄電池が一体化したソーラーパネルまで

既報のとおり2月3~5日の3日間、パシフィコ横浜で「テクニカルショウヨコハマ2010(第31回工業技術見本市)」が開催され、333社・団体が最新の技術や情報を展示した。このなかから産学連携をキーワードに、会場で話題を集めた大学や企業、団体を2回に分けて紹介する。

■岩手大学 ホダ木に10万ボルトの高電圧かける
「雷が落ちたホダ木にはキノコが大量に生える」という農家の声をヒントに、ホダ木や菌床にパルス電界で刺激を与え、キノコの収穫量を飛躍的に増やす技術を展示。10万ボルトの高電圧をかけると収穫量がこれまでの2倍になる。岩手大学地域連携推進センターの今井潤准教授は「全国からすでに100件近い問い合わせがある。今後は地元農家と連携しながらキノコのひとつのブランドにならないか検討したい」とする。一方、健康食品では桑葉エキス末も展示。桑の葉に含まれるDNJ(1-デオキシノジリマイシン)成分に注目したもの。DNJには血糖値の上昇を抑える効果やアンチエイジング、高免疫力などが確認されている。これを添加した発泡酒やもち、うどん、茶などの製品開発状況を紹介し全国的な普及を狙った。
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■鹿児島大学 収穫量が増す焼酎の搾りかす漁礁

イモ焼酎の搾りかすを漁礁に利用し、貝類などを大量に生産する技術を展示。コンクリートに混ぜて漁礁にすると海草が生えやすく貝類が多く繁殖する。またタコツボの材料に使うとこれまでよりタコの入りやすくなるという。特産のトビウオから作る魚醤油も紹介。これまでより短時間で醤油となり、濃厚な味が楽しめる。一方、理工学研究科からは太陽電池と蓄電池が一体化した薄いパネルの研究状況を展示。「充電池のスペースを必要としないため画期的な製品が生まれる」(鹿児島大学産学官連携推進機構、安部淳一工学博士)。現在、携帯電話メーカー大手と共同研究を進めている。
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■広島大学 ロボットが学習して共同作業

モノづくりに利用できる5つの基礎研究を展示。このうち金属加工の軽量化では、焼きはめと接着剤を効果的に併用する研究を紹介し、ボルトやナットをなくすことを提案。またアルミとマグネシウムの合金技術も紹介した。プリント基板の配線印刷についてはAgナノインクを使った新技術を展示。「これまで200℃必要だった印刷が120℃まで温度を下げられる」(広島大学産学連携センター、伊藤勇喜特命教授)。Agナノインクの代わりになるCuナノインクも研究しているという。さらに、ロボット技術では100%プログラミングせずとも自身が学習して複数のロボットが共同作業する研究もみせた。
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■山口大学 メンテナンスフリーの波力発電装置

環境分野の技術を展示。ガラス繊維を植物繊維に代える研究や、分離膜を高分子ではなくゼオライトにすることでアルコールに利用できる技術も紹介した。山口大学産学公連携・イノベーション推進機構の井本良非常勤研究員は「ガラス繊維は環境負荷が高い。植物繊維に切り替えれば廃棄物処理もしやすくなる」とする。また、ゼオライト膜はバイオエタノールの精製で脱水膜として応用できるため、すでに一部の企業では実用化しているという。また波力エネルギーの電力変換装置も提案した。日本周辺の海上に設置し新エネルギーとして利用できないかというもの。提案した技術のひとつはつるべ式波力発電装置で、ワイヤを使用することで構造強度の問題を解決し、維持補修を格段に容易化する。
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■慶応義塾先端科学研究センター "光"先端技術を紹介

光をテーマに各学科から7つの先端技術を展示した。このうちレーザーを用いた治療器の開発では、医工連携と産学連携により、不整脈治療器と下肢動脈治療器が具体化一歩手前まで進んでいる。不整脈治療器では大学発のベンチャー企業としてアライ・メッドフォトン研究所も設立した。このほかの展示では透明ナノ蛍光体、波長変換新材料として、紫外光を可視光に変換するナノ粒子を合成する「低温液相合成法」の開発も紹介した。