ユーザ中心設計のすすめ(第39回)―電子政府ユーザビリティガイドライン |
2009/09/27 日曜日 07:38:37 JST | |
<電子申請とは> みなさん、確定申告のために税務署に行ったことはありませんか。自営業の方や副収入の多い方でしたら毎年のイベントのように手続きをされていることと思います。 その中でもe-Taxを使われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このe-Taxはインターネットを通じてパソコンから確定申告が出来る国税電子申告・納税システムです。確定申告に限らず省庁所管の申請は数多くあります。e-Taxのように、今まで紙ベースで行なわれてきた申請を電子化して、効率化を図る取り組みが電子申請です。 (電子申請とは:http://www.e-gov.go.jp/shinsei/about.html) <使えない電子申請> e-Taxを利用されている方にお尋ねしますが、使い心地はいかがでしたか。現在、多くの申請や届出において電子申請システムが導入されているのですが、ユーザ視点で設計されていないため非常に使いにくいものになっています。利用率のデータ(2004年)も公表されているのですが、書類申請10万件以上の利用者の多い166の電子申請について調査したところ、利用率が1%に満たないものが8割もあったとのことです。つまり仕組みは作られているが、殆ど利用されていないということですね。これらのシステム設計には数百億、いや数千億の予算(みなさんの税金)を計上して、設計されたにもかかわらずです。利用率が低い原因は、ユーザにとって「使いにくい」という一言につきます。 <利用率の向上を目指して> そういった使えない現状を打破するために制定されたのが「電子政府ユーザビリティガイドライン」です。これは、電子申請のシステム設計における開発プロセスをユーザ中心設計の考え方で定義したものです。ユーザにとって使いやすくすることで、主要な71の電子申請の利用率を50%に向上させることを目標としています。 (電子政府ガイドライン作成検討会:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/guide/index.html) <波及効果に期待> 政府主導でシステム開発のユーザ中心設計の取り組みがスタートしました。この波及効果として、指定された71システム以外の電子申請システムや、市や区などの地方自治体のWEBサイト、さらには銀行、鉄道、大学、病院などの公共機関のシステムの使い勝手の向上に繋がることを期待してやみません。 「電子政府ユーザビリティガイドライン」みなさんも参考のためにどのようなものか覗いてみてはいかがでしょうか。 *本コラムに関するご質問、ご感想や業務のご相談などもお気軽にどうぞ。 http://www.ueyesdesign.co.jp/contact/index.html の「業務全般のお問い合せ窓口」よりご連絡ください。 みなさまの声をお待ちしております。 ===================================== 【お知らせ】 1.電子政府ユーザビリティガイドラインセミナーを実施しております。 <ご案内サイト> http://www.ueyesdesign.co.jp/ueyes-lc/index.html 2. Android搭載携帯電話(HT-03A)のユーザビリティ評価レポート好評販売中! <ご案内サイト> http://www.ueyesdesign.co.jp/report/p090616_android.html ===================================== 過去記事一覧(第1回~第38回) 筆者プロフィール 鞆 幾也 (TOMO, Ikuya) 1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。 1990年 株式会社ノーバス設立に参画。 2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。 (2005年10月株式会社U'eyes Designに移管) 2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。 現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。 医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。 特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。 UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。 |