先進企業のCSR(第6回)ー(株)紅梅組 |
2009/04/24 金曜日 09:47:48 JST | |
イメージアップとは切り離して考える! 危機管理で新型インフル対策も実施 ■企業市民という考え方 建設業だからこそできるCSR(企業の社会的責任)を考え、地球温暖化の抑制という観点から環境分野への取り組みを計画しているのが、紅梅組(西区戸部本町)だ。大正13年創業の老舗の総合建設業で、従業員数は現在100名。公共工事から民間工事まで幅広く手がけ、ISO9001、14001も認証取得している市内屈指の中堅企業である。 社長の村田幸男氏は「企業の社会貢献というと、イメージアップのための宣伝活動のように見られてしまうこともある。ただ、それはあくまでも結果であり活動の動機は違う」と強調する。たとえば、事業所周辺では清掃や通学の子供たちの安全守る「安全パトロール」などに参加し、地域社会での活動を行っている。だが、これはあくまでも企業市民として当然の貢献であり、業界としての姿勢でもあると指摘する。 ■始まりはコンプライアンスだった 村田氏がCSRに取り組んだ最初の動機はコンプライアンス(企業の法令遵守)だった。耐震偽装などによる建設業界への消費者の不信感を払拭するため、企業理念を確立することで社内の意思を統一し、社員の意識を高めて消費者の信用と信頼を得ようとしたのである。 これが一段落すると、次に取り組んだのが企業の危機管理だ。なかでも市内の建設業界に先駆けて対策に乗り出したのが新型インフルエンザ対策。行政や医療機関のなかでもパンデミック(爆発的感染)への対応にばらつきがあり、上場企業でもマニュアル作りが遅れ気味といわれているが、万が一のことを考え同社では社内に専門の委員会を設け、現在対応策がまとまりつつある。 「もしも、のことを考えると、社員の家族や地域社会には多大な影響を与える。企業として日頃から感染の拡大を防ぐための迅速な行動を取れる準備だけはしておきたい」と語る。また同様に、巨大地震が起きた際の対応策についても社内で対策案をまとめている 。 ■自社ビルを外断熱で省エネ化 同社が今後計画したいのは低炭素化社会に向けた企業としての取り組みである。「消費電力の削減や廃棄物の減量化などはすでに進めている。ただ、CO2排出量のさらなる削減を考えるとそれだけでは不十分だ。建設業としてできることを実行し地域社会に訴えたい」とする。 これまで検討してきたものには外断熱による省エネ化とソーラーパネルの設置、それに屋上緑化などがある。なかでも外断熱はいまでこそ一般の住宅では比較的理解されるようになったが、オフィスビルなどの建築物ではまだ一般的とは言えない。そこで本社ビルを外断熱化し、冷暖房費など空調のコストダウンの実践や省エネによるCO2の排出量削減などを実証することを目標に、年内の改修工事の完了に向けて準備を急いでいるところである。 ■屋上緑化も試行開始 屋上緑化はビルなどの建物の屋上を植物で覆うことで、躯体の耐久性の向上とともに断熱効果を高め、さらに植物がCO2を吸収することで地域の低炭素化が図れる効果がある。今回、改良植物による屋上緑化の試行が決定しその効果を検証することにしている。 「将来、このような環境への配慮がビジネスに結びつけばこれに越したことはない。しかし、とりあえずはまず自社をモデルケースとして"エコ化"する」と企業理念を語る。これまでも制震技術による耐震改修そして外断熱など「建物の再生」をテーマとしたセミナーなどもCSRの一環として行っており、今後も環境問題には力をいれていきたいという。 (取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他) ㈱紅梅組:http://www.kobai.co.jp/ (横浜型地域貢献企業認定) |