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「第3回横浜ITフォーラム2008」レポート プリント
2008/11/18 火曜日 20:27:03 JST
ヒト、モノ、カネ、情報を有効に活かす
IT経営は"技術の話"ではない


11月7日、横浜シンポジアで第3回横浜ITフォーラム2008が開催され「なぜ進まぬ!中小企業のIT化"IT経営への助言"」をテーマに基調講演ならびにIT経営の事例紹介、パネルディスカッションが行なわれた。会場にはIT経営に関心を持つ中小企業の経営者やベンダーら230名が集まり、熱心にファーラムに聴き入った。
  ts-081118-1.jpg 基調講演は「価値ある"外部資源"を経営に活かせ、中小企業のIT経営とは」と題し、明治大学経営学部岡田浩一教授が行なった。
岡田浩一氏の基調講演をベースに、引き続き行なわれたIT経営の事例紹介や、パネルディスカッションなどの内容を踏まえ、要約して紹介する。
■死に筋商品の在庫がタイムリーにわかる
中小企業の経営者は"IT経営"というと、すぐにパソコンなどの技術的なことを思い浮かべて「自分には関係ない」と考えがちだ。実際、中小企業白書などをみてもITの普及により経営環境が変わったと感じるのは大企業で、多くの中小企業は「特段の変化はない」と回答している。しかし、本当は中小企業こそIT経営が効果的な力を発揮する。たとえば経営資源という言葉から考えてみると単にヒト・モノ・カネではなく、これに「情報」が加わる。
情報とは「知識の創造活動」であり「情報活用」のことだ。平たく言うと、たとえばクレームなどの消費者の声を製品開発やサービスにすぐに活かしやすくなり、また情報を共有化することでこれまでにないアイディアが生まれ、業務に即応した社内体勢が生まれてくる。経営の視点からみれば売れ筋、死に筋の商品在庫がタイムリーにわかり、機会損失を起こすことなく製品を生産できる。IT経営とは、いわば会社の状態を"見える化"することなのだ。このIT化は企業規模に関係なく、誰でも手に入れられる経営資源であり、なかでも中小企業にとっては無限の資源であり、成長力と競争力を培うものになる。
■他社の真似をしても成功しない
IT経営は技術の話しでもないし経営の話しでもない。あえて言うなら、この両者が融合した部分に生まれる新しい"経営力"といってもいい。
少々堅苦しい話しになるが、じつはIT経営は世界的に著名な経営論である「資源ベース理論」を踏まえている。これは「企業はそれぞれ自社の経営資源を独自に組み合わせている。このため、各企業は根本的に異なるものである」という理論だ。つまり、一見同じように思える同業者同士も、機械設備などの有形資産、技術やノウハウなどの無形資産、それに組織はそれぞれ根本的に違うので、他社の真似をしたからといって必ずしも同じ成果を生まないのである。
じつは、IT経営とはこの理論の展開なのだ。たとえば、これを情報活用の流れで見てみよう。情報を社内で共有化すれば「どこで何が起きているのか」部下や上司といった隔てなく社員全員がタイムリーに知ることができる。すると会社の業務内容が"見える化"され、これにより問題点や改善点があれば、そこに気づきやすくなる。
こうして仕事の流れを変えられれば、さらにこれを踏まえた上で業務を改革することで、飛躍的に仕事をステップアップさせられる。
■まず"出会いの場"をつくる
中小企業白書によると、このようなIT経営の結果、多くの企業が業務プロセスの合理化やコストの削減、企業体質のスリム化などに役立ち、仕事にムリ、ムラ、ムダがなくなったという。
ただし、言うまでもないことだが、その一方で期待したような効果が得られない企業もある。その原因として最も多いのは、IT化しても業務プロセスを変えなかったり、ITを活用できる人材がいなかったりすることが多い。特にITを活用する人材の不足は大きな課題となっており、外部からの支援が必要だ。
そこで、経営者は外部に支援者を求めるが、ここでまず相談するのが身近な税理士や中小企業相談士などではないだろうか。ITの専門会社(ベンダー)やITコーディネーターまで訪ねていく人はあまりいない。これは多分、このような職業を技術的な専門分野のひとたちと考えているからだろう。
しかし、じつはそうではない。ITコーディネーターやベンダー、関連経営支援機関こそIT経営のプロフェッショナルなのだ。実際、彼らは多くのIT経営を成功させている。経営者はまずこれらの人々とできるだけ知り合いになり、相互に信頼関係を築くことからまず始めてみたい。業務をIT化すには"出会いの場"を積極的に求めることが何より必要である。
 
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