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ユーザ中心設計のすすめ(第8回)―カーナビのタッチパネルをベースとしたジェスチャコマンドに関する事例 |
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第8回は、カーナビのタッチパネルをベースとしたジェスチャコマンドに関する事例をご紹介します。
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本編
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タイトル:指の動きで操作できるカーナビ ~SONY XYZ
指の動き(ジェスチャーコマンド)で操作できるカーナビを紹介します。
使い方は簡単で、ディスプレイがタッチパネルになっていて、地図画面上で時計回りに丸を書くと広域にできたり、その反対に反時計回りで詳細に切り替えることができたりします。また、への字(家の屋根?)を書くと自宅に目的地設定されるなど、全部で6種類あり、ナビに関しては3種類、音楽やテレビなどの操作が3種類あります。

ジェスチャーコマンドで自宅を目的地に設定する
使い始めた頃は好奇心で地図の縮尺をジェスチャーコマンドで変更してましたが、「広域は時計回り」と「詳細は反時計回り」を覚えられず、次第に使わなくなりました。このナビを使い始めて1年ほど経ちますが、現在使っているジェスチャーコマンドは、「行きたい地点を押して、地図をスクロールする」、「への字を書いて、自宅に帰る」の2つしかありません。地図スクロールはタッチパネル式のナビならできるもので、あえてジェスチャーコマンドというものではないかもしれません。 自宅を目的地に設定する方法は、一般的なナビと同じように、メニューから「行き先」→「自宅に帰る」を押して設定できますが、信号待ちでは短時間で設定できるのでジェスチャーコマンドを利用しています。
せっかく新しい試みとして期待される?ジェスチャーコマンドですが、今のところはこのような感じで使っています。ただし、短時間で操作したいけれど、操作するステップが多く、わずらわしいような操作では、ダイレクトに操作できるので有効です。また、ジェスチャーコマンドは覚えやすいものが良く、その種類が多いとユーザは覚えきれないので、その点を踏まえた改良を期待します。
最後に、勢いよく「への字」を書いてしまい、地図がスクロールする誤操作がたまにあります。
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解説
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この日記を書いた当時はタッチパネル入力の延長上でこうしたジェスチャ的な操作による入力が珍しかったので、事例のご紹介として取り上げていました。
興味深いのは、実ユーザでもある本編の筆者が、広域と詳細の操作を覚えられなかったということです。たった6種類しかなく、簡単な操作に思えるようですが、なぜなのでしょうか?
考えられる要因の一つとしては、右回りで広域、左回りで詳細、というのは、なかなか対応付けが難しいのではないかということです。例えば、「右に回す/左に回す」という操作ですぐに思い浮かぶものとしては、ダイヤルスイッチで音量やカーエアコンの温度などを上げる/下げる、と言ったことがあります。この場合通常右回りは大きくなり、左回りは小さくなるはずです。
これに対して「地図をより広域に表示したい」と思った時のユーザの思考としては、
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画面上に見えているエリアを広くする(大きくする)
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表示される対象(道や建物)を小さくする
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広域/詳細ということに対して「大きくする」とか「小さくする」といった概念を持たない
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時と場合によって、「大きくする」と思うときと「小さくする」と思うときが混在している
と言ったように、一意的には決められずに様々なパターンがそれなりのばらつきで存在しそうです。
1だと思うユーザであれば自然に使えますし、3であれば人によっては覚えられるのかもしれません。しかし2や4であれば頻繁に逆に操作することになってしまい、いつまでたっても適切な操作を覚えられなくなります。
※ちなみに本編の筆者は4のタイプ、私は2のタイプになります
さて昨年apple社から発売されたiPod touchやiPhone(日本では今年の7月発売)ですが、写真の拡大や縮小といった操作に以下のような入力方法を採用しています。

拡大したい場合

縮小したい場合
どうです?これなら誰でもすぐに覚えられるのではないでしょうか?
「大きくする/小さくする」という操作を、ユーザによって勘違いを起こしそうな「右に回す/左に回す」ではなく、対象物に対して対角線に「広げる/縮める」という誰にでも直観的に紐付けが行えるようになっていることで、一度使えば悩むことなく使えるようになりそうです。(自動車内で運転しながら行なう操作方法としては、別途検討が必要です。)
apple社はユーザインタフェースの構築において、昔からこうしたユーザ視点での配慮をしており、結果的に優れたUIの提供に繋がっていることが少なくありません。ユーザフレンドリーなユーザインタフェースを提供するためには、こうした地道なユーザ視点での配慮をしながら開発を進められる開発力が重要になります。
※本編部分は使いやすさ研究所<http://usability.novas.co.jp/>の使いやすさ日記(No.297)より一部加筆修正して転載。
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過去記事
ユーザ中心設計のすすめ(序論)ーこれからの開発力を身につける
ユーザ中心設計のすすめ(第1回)-携帯電話のwebコンテンツ事例
ユーザ中心設計のすすめ(第2回)-バスの総合案内システムに関する事例
ユーザ中心設計のすすめ(第3回)-ハイブリッドレコーダーのGUI事例
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ユーザ中心設計のすすめ(第5回)-バッテリーの充電器に関する事例
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筆者プロフィール
龍淵 信
1963年生、1986年法政大学工学部建築学科卒業後、工業デザインを勉強。
1992年株式会社ノーバスに入社。2001年4月にグループ会社の株式会社ユー・アイズ・ノーバスの設立に参画。
2005年10月グループ会社である株式会社U'eyes
Design(ユー・アイズ・デザイン)の執行役員を経て、2007年10月よりノーバスの経営戦略室とU'eyes
Designのシニアアドバイザーを兼務。現在に至る。
携帯電話などのコンシューマ製品、公共機器、OA機器のユーザインタフェース開発およびユーザ評価・調査に数多くかかわり、特に自動車用システムは、ここ10年ほどで150ほどのプロジェクト実績を持つ。
株式会社
U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp

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