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ユーザ中心設計のすすめ(第5回)―バッテリーの充電器に関する事例 |
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第5回は、デジタルカメラなどに付属しているバッテリーの充電器に関する事例をご紹介します。
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本編
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タイトル:同時に使うと大混乱!~充電器のサイン~
デジカメとビデオカメラ持って出かける機会がありました。 そこで準備万端、前日に両方のバッテリーを充電しておいたのですが、当日使ってみるとビデオカメラがすぐバッテリー切れになってしまいました。 えー!なぜ?なぜ??壊れたの??? とりあえずその日はデジカメの動画機能を使いなんとかビデオを撮ることはできましたが、、、
私は少々ブルーな気持ちのまま家に帰り、壊れたかもしれないビデオカメラの状態を確かめようと、もう一度バッテリーを充電してみました。 そのとき、「なぜすぐにバッテリー切れになったのか?」の理由が分かったのです。

充電中 → 充電完了(ビデオカメラ)

充電中 → 充電完了(デジカメ)
私のビデオカメラの充電器は、充電中に緑のサインが点灯し、完了するとサインが消えます。 しかしデジカメの方は、充電中に赤のサインが点灯し、完了すると緑のサインが点灯するタイプです。 つまり、私は両方のサインが緑の状況で「充電が完了した!」と勘違いしてしまい、充電中だったビデオカメラのバッテリーをはずしてしまった、というわけです。
今回のデジカメとビデオカメラだけでなく、ノートパソコンや携帯電話など充電を同時にするシーンは少なからずあるのではないでしょうか。 機種やメーカーが異なっても混乱しないような共通のルールがあれば、もっと使いやすくなるのになぁと感じました。
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解説
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今回取り上げた事例の表示部分は、過去4回で取り上げたようなグラフィカルなカラー液晶を用いて複雑な情報を提供するようなUI(ユーザインタフェース)ではありません。LEDの色や点灯、点滅、消灯と言ったいくつかのパターンを組み合わせて、今充電中か、充電が完了したかと言うたった2つの状態の違いを伝えるだけのことです。
おそらくひとつの商品だけを利用していれば問題は起きないのでしょう。
しかし実際のユーザの利用状況では、このようにいくつかの機器を同時に利用していることが少なくありません。どれが正しいということではなく、様々な機器で仕様が揃っていない(業界標準が無い)ことから、ユーザに不利益が生じている事例と言って良いかと思います。
まったく別の商品になりますが、私が使用しているビデオカメラは、本体にバッテリーを付けて充電する場合と、本製品用にオプションとなっている充電器で充電する場合とで、以下のようにルールが異なり、やはり状態の見分けが非常に行いにくいことになっています。
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【本体での充電】
(充電中 → 充電完了)
橙の点滅→橙の点灯
【充電器での充電】
(充電中 → 充電完了)
橙の点灯→緑の点灯
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コストや開発時期の違いなど開発側の理由はいろいろと想定できますが、ユーザから見て同一メーカの一連の商品群において、同じサインを全く逆の意味で採用するようなことはあってはならないことではないでしょう。これではメーカ(ブランド)の信頼性が損なわれかねません。
本編の例も含めて、たかがLEDと侮って開発しているわけではないでしょうが、開発者の方が考えているよりもユーザが受けている影響は大きいのではないでしょうか。使っても使っても慣れるものではない点が、ユーザの不満度を増幅するものでもあります。
UIの仕様を検討する場合には、開発の段階で社内のほかの類似機器や他社の機器に関して、どういう仕様になっているのか、という情報を持っている必要があります。自社の類似機器や他社も含めたデファクトスタンダードと言えそうな仕様の有無など把握し、と同時にユーザへの影響度合いを十分に想定した上で、採用すべき仕様を決めることが重要となります。
余談になりますが、ソニーのビデオカメラやデジタルカメラ用にインフォリチウム機能というものを備えたバッテリーがあります。これはバッテリーの残量や充電に必要な時間などが逐次本体や充電器の液晶表示で確認できるようにしたものです。LEDしか使っておらず、おそらく満充電かそうでないかしか判断していない今回のものと比べ、技術的なハードルと開発や量産にかかるコストは高くなるでしょうが、ユーザにとっての利便性も非常に高いものとなっています。私が知っているだけでもすでに10年ほど前から商品化されているものですから、特許が相当数抑えられているにしても、他社の主流がいまだにLEDによる2値情報の提供のみということが不思議でなりません。こうした独創的で有用な仕様は、新規購入時の魅力だけでなく、代替え時に同じブランドのものを選んでくれるリピーターを増やすことにも繋がります。ソニーさんがどういった経緯でこの商品を開発されたのかは分かりませんが、コンスタントにこうした魅力的で独創的な商品を提供するためには、ユーザの利用状況からニーズやウォンツを的確に把握し、それを実現するためのアイディアや技術力が重要になります。ご興味があれば、こちらの商品も参考にしてみてください。
※本編部分は使いやすさ研究所<http://usability.novas.co.jp/>の使いやすさ日記(No.370)より一部加筆修正して転載。
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過去記事
ユーザ中心設計のすすめ(序論)ーこれからの開発力を身につける
ユーザ中心設計のすすめ(第1回)-携帯電話のwebコンテンツ事例
ユーザ中心設計のすすめ(第2回)-バスの総合案内システムに関する事例
ユーザ中心設計のすすめ(第3回)-ハイブリッドレコーダーのGUI事例
ユーザ中心設計のすすめ(第4回)-カーナビゲーションシステムの案内画面事例
筆者プロフィール
龍淵 信
1963年生、1986年法政大学工学部建築学科卒業後、工業デザインを勉強。
1992年株式会社ノーバスに入社。2001年4月にグループ会社の株式会社ユー・アイズ・ノーバスの設立に参画。
2005年10月グループ会社である株式会社U'eyes
Design(ユー・アイズ・デザイン)の執行役員を経て、2007年10月よりノーバスの経営戦略室とU'eyes
Designのシニアアドバイザーを兼務。現在に至る。
携帯電話などのコンシューマ製品、公共機器、OA機器のユーザインタフェース開発およびユーザ評価・調査に数多くかかわり、特に自動車用システムは、ここ10年ほどで150ほどのプロジェクト実績を持つ。
株式会社
U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp

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