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この人に聞く--(株)ネットフォレスト高橋佑至社長 プリント
2008/02/04 月曜日 16:21:46 JST
  ~ネット社会の"森"になりたい~

■仕事に誇りの持てる技術者集団を目指す
「フォレスト(FOREST)」とは英語で森を意味する。この森のイメージを社名に込めたのが、プロバイダー事業からWEBサイトの企画運用まで、幅広くネットワークビジネスを展開するネットフォレストだ。
ts-080205-1.jpg社長の高橋佑至氏は森への思いをこう語る。「人が生きるうえで欠かすことのできない酸素を森は供給してくれる。私たちも森のようにネットワーク社会のなかで役立ち、必要不可欠な存在になりたいと思っている」
会社の創業は8年前。プロバイダー事業を皮切りに、関連するインターネットビジネスを次々と手がけてきた。その社業の発展のなかで高橋氏が常に言い続けてきたのが「自分の生き様と仕事に誇りを持つ技術者集団になる」ことだ。

■人件費が仕入れで、派遣で売上はだめ
とはいえ、実際のIT業界はこの理想と少なからずギャップがある。高橋氏は自分自身に警鐘を鳴らすように、業界の現状をこう見る「時代のフロントランナーとしてIT業界はどちらかというとこれまで、もてはやされてきた。そのプロセスの中で、本来インフォメーション・テクノロジー(IT)が持っていなければならない受注先とのコミュニケーションが、希薄になってきたように思う。言い換えるなら、相手に対して顔の見える商品づくりがおろそかになっているように思う」
発注元からの仕事が下請け、孫請けと経由するなかで、ビジネスはしだいに「人件費が仕入れで、技術者の派遣が売り上げという、芳しくない循環に陥っているのではないか。これでは仮に売り上げが伸びたとしても、そこで培われるノウハウを自社に蓄積することは難しい。これでは会社に発展性がなくなる」
このようなスタイルの仕事を続けていると、ついには発注者に対して顔のある商品を提供できなくなってしまうという。経営者は、ただ単に利潤を追求するだけでなく、なんのため行っているのかを立ち止まって考え、仕事に対する誇りを失わないようすべきなのだろう。この高橋氏の姿勢は、社員の仕事に対する取り組みにも大きな影響を与えている。やりがいを求める社員には、それに応えられる会社としての姿勢がなければ、優秀な技術やノウハウも育成できない。さらには、この業界に就職しようとする学生に対して、「3K」という負のイメージも払拭できなくなるとする。
「今のままでは中国やインドなどに人件費以外でも負けてしまうのは目に見えている。自分たちには何ができるのか、そこに新しい価値観を生みださなければ企業として生き残っていくことも難しいだろう」と業界に危機感を持つ。

■ハングリー精神は押し付けない

昨年、高橋氏はビジネスでその中国を訪れている。「北京、上海を回ったが、中国はドイツに次いでGDP世界第4位。その勢いは街を歩いていても肌で感じるほどだ。同行した人はその活気に30年前の日本を見ているようだと感心していたが、今の日本にはない何かがある」
その"何か"のひとつに、戦後の日本が持っていたハングリー精神も含まれているという。しかし、だからといって、それをそのまま日本に当てはめてみようとは思わない。いまの日本は豊かさの先進国となっており、そこには必ずしもハングリー精神は求められてはいないからだ。
高橋氏は同社に就職した若い社員に「自分にキャッチコピーをつけろ」と呼びかけている。今の若者の多くは豊かさの中で自分を見失っている。このため、キャッチコピーをつけることで自分の個性に気がつかせ、そこで掲げたコピーを目標に自分磨きをしてもらおうというのである。ちなみに、人を好きになることが"特技"という同氏のキャッチコピーは「仏の高橋」だそうだ。
「社員には、仕事と生き様の調和、ということを言っている。ハングリーであることよりも、より自分らしく生きることが、そのまま仕事の実績と自信となって表れると思っている」
一方、経営者としての自分はできるだけ、社員の仕事にノーと言わないように心がけている。社員の失敗をある程度は受け止めなければ、人は育たない。それに、新しい分野へのチャレンジにはリスクが付きまとう。ノーとばかり言っていたのでは「先に進まない」と語る。
その同氏が最近読んだ本が『行動できない人の心理学』( 加藤諦三著 PHP研究所)である。具体的な結果をなかなか残せない人は、じつは「やってもくだらない」「自分にはできない」と思って行動を制限していることが多い。この本は、そんな心理を解明して今一歩を踏み出せるようにしてくれるという。

■大規模地震の防災にも備える
高橋氏は現在、神奈川県情報サービス産業協会で横浜市交流委員会の委員長も務めている。そこでいま事業計画案として上がっているのが、産業防災に関することだ。
いまやパソコンなどの情報機器はあらゆる業種の企業がビジネスに利用している。このため、いったん大地震によってそれらが使用できなくなると、いうまでもなく、その被害は甚大なものとなるだろう。そこで、この被害を最低限に食い止めるために、日頃からどのような備えをすればいいか、それをIT業界に携わる立場から提言し、必要ならばその防災のための指導もしようというものである。まさに横浜IT業界のニューリーダーらしい視点といえそうだ。

㈱ネットフォレスト:http://www.netforest.ad.jp/

 
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