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インタビュー:神奈川県情報サービス産業協会池田典義会長 プリント
2008/01/04 金曜日 07:34:41 JST
  組織率50%を目指す県下最大の業界団体
   ~地元に貢献することがIT業界を活性化させる~

■経営者にとって最も大切なものとは?
ts-080104-1.jpg ――経営者にとって最も大切なものは何か?そう問いかけるのは、神奈川県情報サービス産業協会(以下神情協)の池田典義会長だ。その答えは一般に株主であり、従業員だろう。しかし、池田氏は「会社にとって株主や従業員が大切なのは当たり前、本来それと同じぐらい大切にしなければならないのは"地元"だ」と語る。つまり、会社のある地域社会こそもっと大切にすべきなのだと言う。
 IT産業というと、どこか新しい業界のようなイメージを持ってしまうが、横浜にはすでに30年以上の歴史があり、いわば古くて新しい業界である。それゆえ地域社会からはさまざまな形で多くの恩恵を受けているというのである。

■地域がよくなれば会社に優秀な人材も集まる
 企業の社会的貢献(CSR)は言われるようになって久しいが、「忘れてならないのは、従業員の大半は横浜で生活しているということ。横浜が発展し、暮らしやすい街ができてこそ会社に優れた人材が集まり、また育つようになる」と池田氏は言う。
 ただ、IT業界に新しく誕生した企業には、その視点が欠けていることが少なからずあるとも苦言を呈する。「横浜のIT企業の特に若い経営者は、地元にもっと目を向けてもらいたい。たとえば、商工会議所に加入していない企業も結構ある」
 神情協も活動目的のひとつは地域社会への貢献だ。「多くの企業が集まれば1社ではできないこともできるようになる」と説明する。一例をあげるなら、未就労者にIT教育を無料で行い、就職の橋渡しをする「エコールIT事業」などもそうだ。また、今年からは県下の養護施設に情操教育のための和太鼓の寄贈も始めた。

■IT業界の魅力を伝える 
 神情協はまた、教育にも力を入れている。それも業界内の技術的な教育だけでなく、社会的貢献の視点から各企業の実務経験者が理工系大学生に「SE講座」を行い、業界の真の姿を学生に知らせる努力も行っている。現在では県下の4大学、県外で1大学このSE講座を実施している。
 また、小学生に情報産業を知ってもらうため、県下の小学生を対象にした「夢絵コンテスト」も10年前から実施している。これは、子供たちに未来社会の夢を絵に描いてもらい、これを通じて科学に少しでも興味を持ってもらおうというのである。
 このコンテストは、当初1,000点程度の絵しか集まらなかったが、いまでは応募点数が1万点を超え、教育関係者からも高い評価を受けるようになった。さらに「今後は、中学生の目を情報産業に向けられないか、何か考えたい」と池田氏は言う。

■市内私鉄と組み、女性に働きやすい職場を作る
 一方、人材の育成でも神情協は独自の活動を行っている。そのひとつが「ベスト・ワーキング・ウーマン表彰制度」だ。この業界には女性の活躍が不可欠という認識から、優れたワーキング・ウーマンを毎年表彰しているのである。さらに「働く女性の為のWEBサイト/IT@Women」や、キャリアアップセミナー、女性活用セミナー、女性活用実態調査なども行っている。
 池田氏は言う「本来、私たちの仕事は女性に向いている。だから女性が働きやすい職場を作り、日本で一番社会進出しやすい都市に横浜をしたい」
その思いの表れが、ひとつの構想を生んでいる。それは学童保育の拡大版だ。学童保育とは、一般に専門の指導員のもと、放課後の学校で小学1~3年生が夕刻までともに遊びながら過ごすことをいう。
 この学童保育の対象を小学5年生まで広げ、しかも、それを放課後の学校ではなく、駅と隣接した施設で行えないか、と考えているのである。「小学生は5年生ぐらいまでが多感な時期だ。そんな子供たちを独りで家に留守番させず、親の仕事が終わるまで学年の違う子供たちが遊びを通じて交流しあう。その場所が毎日通勤で利用する駅なら、子供と一緒に帰ることもできる。これなら母親も安心して働けるだろう」
 すでに同氏はこの構想を市内の私鉄各社に持ちかけている。実現すれば、いうまでもなく日本初の試みとなる。

■会員企業の従業員の交流を仲立ち

 ところで、同協会では会員企業間の従業員の交流にも力を入れている。この12月20日には神情協主催で初のクリスマスパーティを行い、若い男女150名が集まった。
 「最近は社員旅行や社内のレクリエーションなどが少なくなり、企業単独では社員間のコミュニケーションがとりにくくなった。しかし、これも業界団体なら行いやすい。同じ業界で働く者同士、"井の中の蛙"にならず、互いにもっと交われば刺激になり人生にも仕事にもプラスなるはずだ」と池田氏は言う。
 ちなみに、交流ということでは湘南海岸で実施した家族慰安地引網大会には500名もの会員企業の家族が参加している。

■会員350社が目標
 神情協のこれからについてはどう考えているのだろうか。
「できれば組織率をもっと高めたい。新横浜エリアを除き、市内には700社あまりのIT関連会社がある。その50%にあたる350社を会員企業にしたい。市内の企業2社に1社が会員なれば組織としてゆるぎないものになる。すでに2007年12月末現在で正会員は280社、賛助会員35社の合計315社が会員となっており、この目標は達成できると思う」と、池田氏は協会の将来像を描いてみせる。
 最近は神情協のホームページを見て加入してくる企業も多いというが、なかでもウエブ系の若い企業に新規会員が多いという。「どの企業も横のつながりを求めているのではないか」と考えている。
 池田氏は創業者(現在代表取締役会長)としてアイネットを一部上場企業にまで育てた。
 また、1987年には情報サービス産業の発展を目的に、神情協の創設に多数の仲間と尽力し、20年あまりのうちに県下唯一のIT関連団体にまで発展させた。いまや神情協は横浜のIT企業にとって、なくてはならない存在となっている。

神奈川県情報サービス産業協会:http://www.kia.or.jp
 
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