|
横浜創発ラウンジ ミニセミナー「中国への進出と視覚の科学」 |
|
~中国への進出と視覚の科学~
既報のとおり、横浜国立大学の永井義人准教授(産学連携推進本部)が主宰する「第4回横浜創発ラウンジ」が開かれ、ビジネスチャンスを求めて市内の企業らが参集した。同会では今後のビジネスに役立つミニセミナーが2つ行われた。その要旨を紹介する。

Part1
「中国における日系企業、成功するマネージメント・失敗するマネージメント」
横浜国立大学経営学部 郭沛俊准教授
■文化の違いを認識する
日本の中小企業は中国への進出に魅力を感じている。それは中国の安い労働力であり、また有望な市場性にその理由があるのだろう。だが、過去の例をみるとそれは決して簡単ではない。
そこで、中国への進出を考える際にまず考えたいのは、互いの文化の違いを認識することだ。たとえば、消費者へのPR方法も違う。日本人はどちらかといえば素朴で控えめな広告表現を好むが、中国人はこれとは反対に誇張した表現のほうが好きだ。
また、進出にあたり十分な準備も必要だ。たとえば、大企業の多くは緻密な調査と計画の上で日本の工場を中国に移す。管理職も最初は社長から部長に至るまで全員が日本人だ。この体勢で時間をかけて現地に溶け込ませる。このような方法をとれば失敗しにくいし、仮に失敗したとしてもダメージが少ない。
ところが、中小企業の場合はそれほど緻密な計画性がなく、成り行きに任せることが多いのではないだろうか。それに本社からの支援も十分とはいえないようだ。このため失敗した時のダメージが大きくなりやすいように思う。
■誠意をもってビジネスにあたる
では、どうすれば中国で事業が成功できるのだろか。最初に考えておきたいのは「中国で事業を行う必要性がはたしてどれだかあるか」ということだ。この時、コストの削減だけを目的にするとうまくいかないことが多い。また、実際に進出したら「誠意を持ってビジネスをすること」を大切にしたい。
これは最初から利潤ばかりを追い求めず、企業理念や信念をしっかり持つことである。利益はあとからついてくると思いたい。それに、何事も慎重に対応することも必要だろう。
中国への進出はいろいろな不確実さをともなうもので、いわば地雷を踏まずいかにすばやく目的地の金山に行くかである。このためには、まずきちんとした"案内図"が必要だ。不確実さをいかに短期間に減らすかが、中国における日系企業の成否をわけるのだ。
Part2
「人間の視覚を情報工学的に研究」
横浜国立大学大学院 岡嶋克典准教授
■視覚の科学とは?
人間の視覚を情報工学的な立場で研究している。ものを見ることは脳情報処理のひとつにあたり、そこには心理学、情報処理理論、医学などさまざまな分野が複雑に影響し合っている。
たとえば、脳には人の顔だけを専門に情報処理する部位があることが最近の研究でわかっている。自動車が人間に近い存在として感じられるのは、正面から見たデザインが人間の顔に近いことも影響していると考えられる。これを応用すれば、製品に顔のデザインを取りいれることでより親しみやすくできる可能性がある。
■加齢によって変化する視覚をシミュレーションする
ところで、人は眼球にある水晶体を通してものを見ているが、この水晶体は加齢により黄色化していく。すると、しだいに青色系が見えにくくなる。薄暗い部屋で黒い靴下と青い靴下の見分けがつきにくくなるのはこのためだ。
このように加齢により色の識別が難しくなることは、高齢者向けの品物をデザインする際の配色などに大きな影響を及ぼす。今の消費者は機能性もさることながら、デザインの美しさや操作のしやすさなどを購買時の選択基準にしている。このため、高齢者が使用する品物では特にこの配慮が必要だろう。
また、高齢者には白内障の人も多いが、この場合はガスレンジの炎の大きさが小さく見える。高齢者の火災事故の中に、調理中などに衣服に火が燃え移る"着衣着火"が目立つ。これは視覚の加齢と関係している可能性が高い。
そこで、高齢者にどのように見えているか、事前にシミュレートしてみればいい。このシミュレーションには主に3つの方法がある。ひとつは、色フィルターを用いて黄色化した水晶体と同じ状態で見てみること、ふたつめは加齢による瞳孔の縮小をシミュレートしてみること、そしてもうひとつは見ているものを静止画にし、それを高齢者の見え方に変換してみる方法である。
ただし、これだけでは十分ではない。人の視覚には常に動作がともない、また環境にも影響されるからだ。そこで現在、私たちの研究室では品物を実際に使いながらそれをリアルタイムでシミュレートする方法について研究している。
横浜国立大学 http://www.ynu.ac.jp/
岡嶋研究室 http://www.okajima-lab.ynu.ac.jp/
|