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「神情協・横浜ITフォーラム」~パネルディスカッション~レポート プリント
2007/12/02 日曜日 10:49:30 JST
  「どう向き合う!人材難・オフショア、そしてインドからの逆上陸」
   ~オフショア時代を勝ち残る経営の心得とは~


 既報のとおり神奈川県情報サービス産業協会(横浜市神奈川区)では、横浜シンポジアにおいて第2回横浜ITフォーラムを開催し、「どう向き合う!人材難・オフショア、そしてインドからの逆上陸」と題したパネルディスカッションをおこなった。ここではその要旨を紹介する。
出席パネラーは次の方々
 ㈱エル・カミノ・リアルの木寺祥友(きでら・よしとも)社長
 ㈱大洋システムテクノロジーの蕭 敬如(しゅく・けいじょう)社長
 ㈱ティーズコンサルティングの武井博(たけい・ひろし)社長
 ㈱グローバル・アドバンテージの陳 旋(チン・セン)社長
 コーディネータは㈱ネットフォレストの高橋佑至(たかはし・ゆうじ)社長
  (順不同)
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――高橋氏 
人材難といわれているが、その現状と打開策についてどう思うか
蕭氏 SEが不足している背景には、発注側の低価格化と、そこに求められる技術がめまぐるしく変化していることにある。これを解決するには発注価格をわかりやすくすることが必要だろうだろう。そうすれば国際分業も行いやすくなる。

木寺氏 当社に人が集まりやすいのは、おそらく技術者に興味を持てる仕事をしてもらっているからだと思う。ヤフーなどのIT関連会社に人が集まるのも、その仕事に自分なりの誇りが持てるからだと思う。仕事に対する経営者のスタンスも人材難に影響していると思う。

武井氏 人手不足を補うためには、国際分業を進めなければならないが、開発に「外国人不可」とする取引先が問題解決を難しくしている。セキュリティも考えての上なのだろうが、自らも中国に行って開発するなど、取引先にはより柔軟な体勢でアウトソーシングを考えてもらいたい。

陳氏 若い人が集まらないのは時代の流れもあると思う。米国では優秀な人が金融業界に就職している。日本のIT業界は仕事のおもしろさをもっとアピールすべきではないか。"顔"のある業界なら魅力も出てくる。ソフト開発は、給与はいいがイメージがいまひとつだ。必要なら技術者が興味を持たないような仕事だけオフショアする方法もあるだろう。

蕭氏 将来的にフルアウトソーシングになることを考えると、その仕事をコーディネイトできる人材も養成していかなければならない。そんなセンスを持ち合わせた30代までの人たちは多くいる。まず、人材育成のための社内の環境づくりも大切だ。

陳氏
 たしかに、プロジェクトリーダーになれる人材(SE)を育てることは、今後の業界の課題となる。

武井氏 私もそう思う。SEの仕事は仕様書を考えるだけでなく、顧客とコミュニケーションをとりながら、そのニーズを汲み取ることがなにより必要だ。

――高橋氏
 中国へのアウトソーシングは今後どうなるか
蕭氏 家電業界はオフショアで下請け企業は全滅した。ケータイ電話でも同じ様なことが起きている。すでに製造業ではその影響に白黒がついているのではないか。

陳氏 製造業の中国へのアウトソーシングは最初"安かろう悪かろう"で失敗例も多かった。しかしそれも最初だけだ。いつの間にか製造の移転は世界的な流れとなった。ただ、なんでもアウトソーシングすればいいというわけではない。そこを見極めたい。

――高橋氏 オフショアの問題点は
武井氏 中国への発注はパートナーとなる会社が、どの仕事に対して程度質問をしてくるかに注目したい。何も言ってこない場合は注意する。こんな時は、すべて順調に運んでいるかのようにみえて、じつはとんでもないことになっていることも多いからだ。とにかく、最初にどういう製品を作りたいのかをまず的確に伝え、パートナーに疑問点を質問させる必要がある。そうでないと相手は「なにも教えてくれないからこうなった」と主張してくることもある。

陳氏 初取引先となる発注者側も、よりオフショアのメリットに関与する必要があるのではないか。最初から発注先を選んで指名するのではなく、ともに開拓するような気持ちが必要だと思う。

木寺氏 中国人は技術者として非常に優秀だと思う。しかし、取引先から仕事を請ける時は"中国万能論"は言わないようにしている。日本でやってできない仕事は、中国でもできないことが多い。それに、低コストだから中国に発注するというのもおかしい。それより、自動車メーカーなどのように「消費者の手に渡る最終製品を国際分業する」といったスタンスでアウトソーシングし、互いにプライドを持って仕事をするようにしたい。

蕭氏 中国にアウトソーシングをする際は資本提携というパートナーシップも視野に入れたい。というのは、相手の会社はノウハウを覚えると、すぐに他社の仕事の仕事を増やすことがあるからだ。これでは、なかなかコントロールしづらくなると思う。

武井氏 たしかに、資本提携も大切だろう。しかし、相手の会社の仕事量まで気を遣わなければならなくなるので、痛し痒しの面もありそうだ。

陳氏 おそらく、人材難のなかでIT業界を勝ち抜いていくためには、オフショアは避けて通れない。しかし、どの企業をその相手に選ぶかは最初の大きなステップとなる。まず、その選び方を考えることから始めたい。

――高橋氏 中国人の日本人感については?
陳氏 中国人留学生として日本に来た中国人と、アルバイトしながら日本語学校に通った中国人とでは、まったくその好感度が違う。留学した人は、そのほとんどが日本人びいきになるが、これに対してアルバイトをしていた人たちは、その大半が日本人嫌いになっているように思う。ただ、全体的な傾向として言えるのは、若い人ほど今の日本文化の影響を受けており、日本人好きが多い。

木寺氏 就職する際に、中国人は日本より欧米の企業に行きたがる。やはり欧米企業のほうが魅力があるのだろう。ただ、そのなかで、最近韓国の企業に就職したがる女性が増えているのは注目すべきだ。彼女たちは働きやすい環境として韓国を選んでいる。その働きやすさの理由はさまざまだが、欧米が絶対的ではないことの証だ。

㈱ネットフォレスト http://www.netforest.ad.jp/
㈱大洋システムテクノロジー http://www.taiyo-st.co.jp/
㈱エル・カミノ・リアル http://www.ecreal.co.jp/
㈱グローバル・アドバンテージ http://www.e-glad.co.jp/

 
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