横浜産業新聞
larger smaller reset larger
Home arrow 特集/レポート arrow 新横浜つながりの元気企業(4)-アーム㈱
新横浜つながりの元気企業(4)-アーム㈱ プリント
  西嶋貴史社長インタビュー ~カギは"デファクトスタンダード"が握る~

■ライセンシーより年24億5千万個のARM搭載CPUコアを出荷
 アームは、マイクロプロセッサのアーキテクチャをライセンス供与するファブレスメーカー英国ARM(アーム)の日本法人である。ARMが提供するCPUアーキテクチャは、世界中200社の半導体メーカー等に採用され、これらのライセンシーから年間24億5千万個ものARM搭載CPUコアが出荷されている。半導体業界の標準的なCPUアーキテクチャといえるだろう。
hd-071114-1.jpg  同社の西嶋貴史社長は、ARMのアーキテクチャが世界の半導体各社に採用されるのは、デファクトスタンダードだからからこそ可能なのだと語る。
 デファクトスタンダードとは、国際機関や団体が決めた公的な標準ではなく、市場の原理で事実上の標準とみなされる規格や製品のことである。
じつは、このデファクトスタンダードの考え方こそが日本のシリコンバレーとも呼ばれる新横浜のIT産業にふさわしいのではないかという。

■付加価値の高いマイクロプロセッサの周辺技術
 「日本のモノづくりは、デジタルオーディオプレーヤーの走りともなるウォークマンや、TVゲームなど、これまでにない新しい分野を創出してきた。新横浜にはこのような新分野を開拓するポテンシャルが秘められている」と西嶋氏は語る。
 そのひとつとしてあげるのが、マイクロプロセッサの周辺部分だ。新横浜地区の無線、グラフィック、アナログなどの技術は世界的な水準にあり、非常に付加価値の高い技術開発が行われている。
 「このなかから、これまでにないまったく新しい製品を育てあげ"本物"にするためには、IT、家電、自動車などさまざまな業界が、標準的に採用できるものでなければならないだろう。多くの企業が使えばそこには新しい用途も生まれる」(同)。

■日本は就職というよりも"就社"

 これは技術者にも当てはめることができると西嶋氏はいう。「モノづくりの基本は思いついたアイデアを研究・開発して最終的に製品化することだろう。日本はこのプロセスのそれぞれに均等に技術者を配属する。このため、本人に興味のない仕事でも熱心に働かなければならない。これは終身雇用という制度だから可能なのだ。いうまでもなく、これにより社員それぞれの仕事が熟練し、競争力のある製品が生み出せるようになる」
 ただし、「こうしたやり方で培われるノウハウは、他社では応用できないのではないだろうか」と指摘し、「どちらかといえば、このような技術はその会社専用で終わってしまうことのほうが多いように思う」ともする。
 これに対し「欧米では転職によりスキルアップし、また企業もその上に成り立っている。このため、たいていのエンジニアは同業他社で通用するデファクトスタンダードな技術を持っている。また、モノづくりのプロセスのなかでは、その始まりとなるアイデアの部分に興味を持つ技術者が多く、人材も集中しやすい。これが画期的な製品を生み出す原動力となっている」と同氏は指摘する。
 日本の場合「社員は企業に就職するのではなく"就社"する。転職は"転社"に近いのではないか」という。 
 新横浜には300を超えるIT関連の企業がある。そこでデファクトスタンダードな人が育てば技術が流通し、より発展する可能性がある。「転職が簡単にできるようになれば、将来の生活に不安を持つことなくなる。そうすれば興味のあるベンチャー企業に就職することもでき、そこからこれまでにない製品が生み出される可能性もある」(同)

■新横浜をロボットの街に
 そんな西嶋氏がいま新横浜に求めているのは「ロボットのメッカになれないか」ということだ。世界では、ARMアーキテクチャを搭載した様々なロボットが市場に登場しつつある。しかし、日本の中にはまだロボットに特化したエリアがない。実現すればビジネスチャンスも広がり、ロボットの中心地になれば、国内外から優れた頭脳も流入しやすくなる。
 また、新横浜の面白さについてこうも語る。「日本の他のエリアは行政主導でIT産業の集積地が作られている。しかし、ここはさまざまな理由から自然発生的に集積地となっている。ということは、さらに企業同士が互いにフェイス・ツー・フェイスでコミュニケーションできる環境が整えばさらに発展する」
 ロボットとデファクトスタンダード。この2つが、これからの日本のIT関連産業にはかかせないものなのかもしれない。

西嶋貴史(にしじま・たかふみ)
1975年、東京大学工学部物理工学科卒業。富士通出身。パナファコムにて制御用ミニコンOS開発に従事。1997年、米国シリコンバレーに子会社Cell Computingを設立し、Pentiumベースの製品で、組込み市場開拓を経験。
アーム㈱
マイクロプロセッサとソフトウェアの設計、開発およびライセンス供与。マイクロプロセッサとソフトウェアのメンテナンス、技術指導及びコンサルティング、 ソフトウェア開発システム、プロセッサ評価ボード、ICEの販売。
本社:〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜3-7-18(第2上野ビル8階)
TEL:045-477-5260  FAX:045-477-5261
 http://www.jp.arm.com/
 
< 前へ   次へ >
ユーザ名(E-Mail)
パスワード

自動ログイン
横浜産業新聞メールニュース
購読メールアドレス:
こちらに空メールを送っても登録できます。

支援企業・団体

連載/コラム

広告主募集

Advertisement
ホーム  |  横浜産業新聞について  |  スタッフ募集  |  広告のご案内  |  サイトマップ  |  お問い合せ
Copyright 2004-2007 横浜産業新聞 - 横浜における情報産業の情報発信「ハマビズ」 - All rights reserved.
横浜産業新聞に掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権は横浜産業新聞またはその情報提供者に属します。