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セミナー「人を動かし共存するロボットシステム」 プリント
               ~第19回新横浜ITクラスター交流会~

ここまできた!ロボットが解決する21世紀の高齢化社会
 新横浜ITクラスター交流会は10月18日、横浜ラポールにおいて「人を動かし共存するロボットシステム」をテーマにセミナーを行った。講師は東京理科大工学部機械工学科の小林宏准教授。以下セミナーの要旨を紹介する。

圧搾空気を利用した人工筋肉で顔の表情を作る
 
 少子高齢化時代を迎え、いま生活支援・社会福祉を目的とした実用的なロボットシステムの開発が求められている。20世紀は危険な作業や重労働を行うロボットが求められていたが、21世紀はこれに加えて人の動きを補助して自立を助けるロボットも求められるようになった。このような開発は世界的にも例が少ないと思う。
 今回、紹介するロボットは①ロボット受付嬢SAYA②嚥下(えんげ)ロボット③アクティブ歩行器④多機能筋トレ装置⑤しごき機能付搾乳機⑥マッスルスーツなど。
 このうちロボット受付嬢は、人と機械の感性的なコミュニケーションを目的として開発した。このロボットに特に必要とされるのは表情。これをどのように人間に近づけるかということが研究テーマになった。
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喜怒哀楽など6つの感情を表す“SAYA”嬢
 このためロボット受付嬢SAYAは、人の顔の表情筋の動きを分析しこれ応用した。具体的には、顔面上の18か所を制御点として選び、人工皮膚のその制御点に対応した位置を裏側から人工筋肉で引っ張り表情を作り出した。
 表情は基本的な6パターンの、驚き、恐怖、嫌悪、怒り、幸福、悲しみを表現できるようにした。人工筋肉はナイロン繊維で編んだ筒にゴムのチューブを通し、そこに圧搾空気を送り込むことで動かした。このチューブが作る力は非常に強いので、マッスルスーツ、アクティブ歩行器などにも応用している。
 “SAYA嬢”は東京理科大の受付で現在活躍しており、言葉は約300種類の単語を理解し約700種の返答ができる。今年はイスラエルの大学にもSAYA嬢を納入した。将来はこの技術で子供や孫の顔をしたロボットを作り、独居老人とのコミュニケーションを取れるようにしてみたい。

人工皮膚の研究を床ずれの評価に結びつける
 また、このロボットの人工皮膚を作るにあたり人間の肌についても研究した。じつは、これまで化粧品メーカーなどでも人の肌の研究をしてはいるが、定量的に計測しそれを体系化したものはない。
 今後、この研究を活用しシワのメカニズムや床ずれの評価、皮膚の移植場所の決定などもできるようにしたい。
 一方、嚥下ロボットは人が食べ物を飲み込む時の動作をロボット化したものだ。高齢者の肺炎はその70%が誤嚥によるものである。このメカニズムを解明すれば手術に役立てることもできる。
 また嚥下とともに高齢者の食事については、ターンテーブルとその上に乗せた5枚の皿が連動して動く食事介護用のロボットも開発している。

着るだけで筋力補助ができるスーツ:マッスルスーツ
 マッスルスーツは人の動きを物理的に支援するロボットとして開発した。これはウェアラブルロボット(着るロボット)で、空気圧式の人工筋肉を腕の部分に取り付けているため、これを装着すると人の筋肉をサポートして重量物でも比較的軽く持ち上げることができる。
 マッスルスーツは、高齢者や身障者を抱きかかえなければならない介護者や、工場内の重筋労働者などの肉体労働にも役立てることができる。
 なお、マッスルスーツは腕と腰補助用に開発を行っているが、腰については年内の実用化を予定している。
 また、アクティブ歩行器は,立つことも歩くこともできない人を立って歩かせることが可能な機器で、家庭内でも利用できる世界で唯一の歩行器である。すでに実験で効果が確認できているので、今後は実際に使用してもらえるように医療機関などに積極的に働きかけたい。

東京理科大工学部機械工学科小林研究室
http://kobalab.com/
■研究テーマ
生活支援・社会福祉を目的とした実用的なロボットシステムの開発/画像処理技術の追求/ロボット知能の多角的な基礎研究
■研究中ならびに実用化されたもの
ロボット受付嬢SAYA/マッスルスーツ/アクティブ歩行器/多機能筋トレ装置/アクティブデフ/しごき機能付搾乳機/水中網補修機/人間に近い腕の動きを実現に関する研究/嚥下ロボット/発音ロボット/全身表皮組織の定量化と分類/上肢筋力補助装置/車取り付け雨よけ装置

 
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