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セミナー「ユビキタス時代の交通安全支援システム」 プリント
         ~IDEC・第119回産学交流サロン~

電子タグでドライバーに歩行者の位置情報を知らせる   
 横浜企業経営支援財団(IDEC)では9月21日、関東学院大学工学部電気電子情報工学科教授で独立行政法人情報通信研究機構の井原俊夫氏を講師に招き、「交通弱者に対する電子タグによる安全運転支援システム」をテーマにセミナーを行った。
yd071011-1.jpg 井原氏は同機構・横須賀ITSリサーチセンターで行われている産学連携の拠点研究「電子タグを用いたITS応用技術の研究開発」プロジェクトの総括責任者で、セミナーでは同プロジェクトの「交通安全を目指した歩行者間通信による安全運転支援システム」について講演した。ここではその概要について紹介する。

歩行者情報を電波で捉える
 交通事故による死亡者数は全体では減少しているが、65歳以上の高齢者は横ばい傾向が続いており減っていない。事故は歩行中や自転車走行中にその4割が起きており、とくに生活道路から交通量の多い道路に出た際に発生することが多いとされている。
その大半はドライバーの見えない場所から、歩行者などが不意に現れる「発見遅れ」が原因となっており、もし早めに歩行者がいることを知らせれば事故を未然に防ぐことも可能となる。
このため、同プロジェクトでは視界の外にいる歩行者を電波で検出してドライバーに伝えられないか、そのシステムの研究開発をおこなっている。具体的には1mW/950MHz帯アクティブ型電子タグ(RFID)と、その検出エリアを柔軟に設定できる125KHzLF信号装置の技術を応用したシステムだ。

完成すればカーナビに搭載も
 システムは電子タグを歩行者や自転車などに取り付け、検出エリアで位置情報や個体情報を検出し、それを危険予知情報として道路側通信装置またはカーナビなど車載機器に情報配信するというものである。
このシステムは、①個体情報通知制御技術、②対象物位置・進行方向検出技術、③可変ID方式個人情報保護技術の研究によって成り立っている。
 ①はRFⅠDをつけた個体が交差点などの検出エリアに進入した際、それが自転車なのかベビーカーなのかといった個体情報を識別し、さらにその位置情報を通知する技術。
 ②は交差点付近の対象者(物)の位置と進行方向を検出するため、実際に横断歩道などを渡っている場合や、交差点接近している際の移動情報(進行方向、速度などの状況)を検出できるようにする技術。
また、RFIDの検出技術を利用し、高齢者・障害者など移動に不自由のある方々が自己位置情報に基づいて周辺の情報やエレベーターなどの最適経路情報を提供できることも合わせて研究している。
 ③はRFIDで個人情報識別をしても、対象者のプライバシーが侵害されないように、RFIDのID情報の保持方法などを研究するものだ。

乗り越えるべき9つのハードルとは
 平成19年度下期に実証実験を行う予定だが、これまでのところ主に9つの課題があるという。検出エリアについては、①LF電波域内でのRFID検出位置の精度向上、②RFID検出保証のためのLF電波送出タイミングのパラメーター調整、③多様な事故パターンに対応する検出方法のバリエーションの検討。
 RFIDについては①チップ性能向上による処理速度の向上。また、電波伝搬については②フェージング環境下における1mW出力での電波到達域の拡大、③情報伝達保証としてパケット欠落頻度の更なる削減対策。
 セキュリティについては①推定不可能な乱数体系のRFIDへの実装。そしてHMIでは②情報通知に誤報が多くならないようにするための通知方法、③情報通信によりドライバーの注意が散漫にならないための通知方法である。
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日本のRFID方式は世界で先駆的な存在
セミナーでは参加者との間で次のような質疑応答があった。
Q ドライバーにではなく歩行者にクルマが接近している情報を伝えられないか。
A 技術的には十分可能だろう。
Q どうすればRFIDを持ってもらえるか。
A ケータイなどに実装されればより普及する可能性ある。
Q 普及のためのコストはどうか。
A RFIDのコストはそれほど障害にはならない。問題は道路などに設置するアンテナのほうだと思う。
Q 世界でこの方式を研究している国はあるのか
A RFID方式は日本が先駆的な存在。このシステムの完成は海外からも期待されている

 
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