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皆で考える地球温暖化(5)-地球力 プリント

我らが地球はもう足りない

皆さんご承知の通り、国連の統計によりますと、2050年には世界の人口は約90億人になると予測されています。しかし、この予測については、現人口約68億人の扶養もままならない状況で、温暖化に見舞われている今、多くの人々が疑問に思っています。このような状況下、私たちの地球はどうなっているのか、そして、あとどれだけの人類あるいは生物種を養う余力があるのか、いわゆる「地球力」を知ることは、興味あるところではないでしょうか。

このようなことを推し計る物差しとして、エコロジカル・フットプリント(人々が生物圏の生産力をどれくらい消費するか概算したもの、ha/人で表示)があります。これを基に、WWF(世界自然保護基金)が公表している「生きてる地球レポート」(2006年)によりますと、我々人類の活動により、資産の多くが既に脅威に晒されております。

既に1980年代後半には地球の生産力は人類の需要に応えられない状況になっています。このことは、地球の再生力が不足し、自然が廃棄物を資源に変えるより速いペースで、人間が資源を廃棄物に変えていることを意味しているのです。そして、このことが、生態系の破壊や荒廃をもたらし、生物多様性と人間の福祉を脅かしています。

このように見てきますと、すでに健康を失い、病を得た地球が何時まで持つのか、それが我々人類の最大の問題なのです。大量生産、大量消費、大量廃棄へと世界は向かい、エネルギー等の天然資源を食い荒らしています。

このような、地球を汚染することを止めない限り、人類社会の持続的発展は望めません。
地球が健康を回復し、将来ある星になるには、WWFが「生きてる地球レポート」で公表した25%もの負債(2003年)を先ず清算しなければなりません。すなわち、生物が健全な営みを続けてゆくには、現状でも地球がおおよそ1.3個(図―1)も必要なのです。
             図―1 構成要素別エコロジカル・フットプリントco2-5-1.jpg
注)・エコロジカル・フットプリント:さまざまな資源の消費量を基に、牧畜や農耕に使われている土地の広さを計算し、それをグローバル・ヘクタール(gha)という新しい面積単位で示すもの。二酸化炭素の排出量もそれらを吸収可能な土地の面積に換算している。
1980年代の半ばに地球1個分の生物生産力(および二酸化炭素の吸収力)のラインを超え、2005年の時点でおよそ1.3の数値を示している。
・縦軸単位:億gha
出典:生きてる地球レポート2008年版

しかし、この足りない状況は現世界の生活格差を前提にしたうえでの話しなのです。従って、格差を是正すれば必要とする地球の個数はさらに増加することになります。ちなみに、この予測には、世界平均値の2.2ha/人(表―1)をエコロジカル・フットプリントとして使用しています。
           表―1 生物学的な需要と供給(2003年)
    co2-5-2.jpg
注1)    当該地域全体のエコロジカル・フットプリント
注2)    当該地域一人当たりのエコロジカル・フットプリント
注3)    当該地域一人当たりの生物生産力 
出典:生きてる地球レポート2006年版より作成

しかし、世界中の国々がわが国並みの生活をするようになったと仮定すると、エコロジカル・フットプリントの平均値は、4.4ha/人(2003年)と倍加します。これを基に、生物圏を予測しますと、現在でも必要な地球の数は2.5個と絶望的です。すなわち、今の「地球力」のままでは、現世界人口の約40%(約27億人)の人々しかわが国並みの生活が営めないことになります。

これでは、2050年に90億人もの人々を扶養することは到底できません。このように考えると、温暖化により生態系が乱れ、自然が破壊されてゆくことは由々しき問題なのです。
このことからも、地球温暖化を防止することの大切さが良く分かります。

過去記事
・皆で考える地球温暖化(1)-連載にあたって
・皆で考える地球温暖化(2)-温室効果ガスと地球温暖化
・皆で考える地球温暖化(3)-削減対象とならない水蒸気
・皆で考える地球温暖化(4)-世界像を描け

筆者プロフィル
東  勝(ひがし まさる)

co2-higashi_tckr.jpg環境・経営コンサルタント
VMCYハーバークラブ会員
1941年愛媛県大洲市生まれ
京都大学工学部卒業後
日本鉱業(現新日鉱ホールデイングス)(株)入社
(株)日鉱テクノサービス、日鉱金属(株)等を歴任
現在、環境伝道師を自認し、製造現場での豊富な経験を基に、
京都メカニズムのCDMプロジェクト審査・検証員
温室効果ガス排出量取引審査・検証員
環境ISOマネジメントシステムの構築支援・監査
環境リサイクル・非鉄金属事業の経営・技術支援及び
工業英語翻訳者
として活躍中
著書:「地球温暖化は科学を超える」(牧歌舎)
保有資格
・CDMプロジェクト審査・検証員
・環境ISOマネジメントシステム審査員補
・エネルギー管理士
・公害防止(大気・水質1種)管理者
・甲種危険物取扱主任者
・高圧ガス取扱主任者
・ボイラー技士
・衛生管理士
・工業英検2級(翻訳)

 
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