温室効果ガスの25%削減には島国根性を捨て、世界像を描くことが必要
鳩山首相が世界に約束した温室効果ガス25%削減が日々マスメデイアを賑わしています。皆さんご存知のように、世界は歓迎ムードですが、ある途上国の首脳のように、約束は空手形であるとの陰口もあります。また、国内では、競争力の低下や産業の空洞化を盾に、強固に反対していた財界の首脳も、渋々その気になりつつありますが、反対論には依然根強いものがあります。
その反対論の背景には、地球温暖化は科学的に立証されていないという、理詰めの判断基準から、表面上は歓迎しているが、世界は陰で笑っているから、わが国が先頭きって走れば馬鹿を見る、と考える島国根性丸出しまで千差万別です。すなわち、二階に上がって梯子を外されるのではないか、と心配する人々もいるのです。
しかし、これらの心配には、25%削減の道を選ぶと、わが国のGDPは3.2%/年減少し、各世帯の負担が36万円/年増えるという、産業構造を不変とした、前政権のやる気の無い好い加減な、試算の結果が大きく影響しています。
従って、新政権は、再生可能エネルギーの大々的な導入や、地球温暖化対策税の導入等で、産業構造と生活様式を一変させた社会の創出を前提に、費用対効果を算出し、前政権の試算を見直すべきであります。そして、25%削減達成の暁には、恒常的な赤字財政が断ち切れること、1000兆円に迫りつつある、借金の返済が可能になることを明らかにし、国民の不安を払拭することを、公約実現の第一歩とすべきであります。
すなわち、地球温暖化対策を進めることは、わが国にとって良いことであり、世界にとっても良いことであることを、具体的に分かりやすく国民に説明することが先ず必要です。このようにすれば、25%削減の世界像が解り、国民は安心して、大きな一歩を踏み出せます。
世界像を描くには人材が必要ですが、それには、新政権の公約である公務員制度改革を強力に推進し、天下りを全面廃止して、余った官僚を戦力として活用する方法が考えられます。つまり、これらの官僚を集め、世界戦略局を設置し、検討チームを編成、各国と連携し、官僚に世界の情報を収集・分析させ、国家戦略、世界戦略構想を練らすことにすれば、世界像が明らかになり、国民に説明すると同時に、世界に示すことが出来るのではないでしょうか。
このようにして、わが国並みの生活ができる低炭素社会創出の方策を、関係各国の人々と共に模索し、戦略を立案・実行する助力をするのです。そうすれば、お金だけあげると揶揄されたODAが真のODAに生まれ変わり、途上国から賞賛されることは必定で、12兆円/年ともいわれる天下り費用も活きることになります。
地球温暖化防止活動は、人類の未来が懸かる世紀に亘る一大プロジェクトなのです。時間は掛かっても、世界像を明らかにし、わが国の位置づけを明確にし、適宜見直して進まなければ方向を見誤り、取り返しのつかないことになります。
今こそ、地球はひとつ、との考えを世界に発信し、実践すべき時ではないでしょうか。
過去記事
・皆で考える地球温暖化(1)-連載にあたって
・皆で考える地球温暖化(2)-温室効果ガスと地球温暖化
・皆で考える地球温暖化(3)-削減対象とならない水蒸気
筆者プロフィル
東 勝(ひがし まさる)
環境・経営コンサルタント
VMCYハーバークラブ会員
1941年愛媛県大洲市生まれ
京都大学工学部卒業後
日本鉱業(現新日鉱ホールデイングス)(株)入社
(株)日鉱テクノサービス、日鉱金属(株)等を歴任
現在、環境伝道師を自認し、製造現場での豊富な経験を基に、
京都メカニズムのCDMプロジェクト審査・検証員
温室効果ガス排出量取引審査・検証員
環境ISOマネジメントシステムの構築支援・監査
環境リサイクル・非鉄金属事業の経営・技術支援及び
工業英語翻訳者
として活躍中
著書:「地球温暖化は科学を超える」(牧歌舎)
保有資格
・CDMプロジェクト審査・検証員
・環境ISOマネジメントシステム審査員補
・エネルギー管理士
・公害防止(大気・水質1種)管理者
・甲種危険物取扱主任者
・高圧ガス取扱主任者
・ボイラー技士
・衛生管理士
・工業英検2級(翻訳)
|