|
新横浜つながりの元気企業(1)-(株)エッチ・ディー・ラボ 長野義史社長インタビュー |
|
~教育の次は組み込みソフトだ!~
■EDA業界の著名3人が結集
“三人寄れば文殊の知恵”という諺がある。ひとりで考えるより3人で相談し合ったほうが優れた知恵になるという意味だが、IC回路設計のコンサルタント業、エッチ・ディー・ラボ(HDラボ)もEDA業界出身の3人の叡智を結集して生まれた会社だ。
さらに、この3人はIC回路設計の世界のベスト&ブライテストなのである。社長の長野義史氏は、長らく外資系企業でEDAの営業を行ってきたビジネスマンであり、また、長谷川裕恭代表取締役はロジック回路設計のコンサルタントの第一人者で、その著書に『VHDLによるハードウェア設計入門』(CQ出版)がある。
そして.小林優取締役も『ハイクラスC言語』(技術評論社)などの著者として知られている。
トップインタビュー「新横浜つながりの元気企業」の第1回は、そんなHDラボの長野社長にお話しをうかがった。
■営業と技術がぶつかって生まれるものとは
HDラボは1996年の会社設立以来右肩上がりに売り上げを伸ばし、現在社員は26名である。3人の創業者がいることで経営にどのような活力が沸いてくるのだろうか。
長野氏はずばり「営業と技術を棲みわけたバランスのある経営ができる」と語る。回路設計のコンサルティングという仕事は「技術に付加価値を求め過ぎても、あるいは利益を優先し過ぎても経営的にマイナスになる」と言う。
実際、日頃の経営会議でもこのふたつの立場で議論が白熱することが多く、議題よっては最終決定までに時間がかかることもあるそうだ。しかし、このプロセスを踏むことで両者が刺激し合い、結果的に「バランスのとれた着地点が見つかる」とする。
■10年前とはストーリーが違う!?
ところで、同社の売り上げの柱は回路設計のコンサルティングと教育事業だ。なかでもコンピュータ言語を学習する「HDLABトレーニング」と「Eラーニング」は主力製品のひとつ。半導体理工学研究センターと共同で開発した業界初の設計技能検定用の学習ソフト「ESA(イーザ)」も提供している。
ただ、教育事業も創業時とは様変わりした。「2匹目のドジョウがいなかった」と長野氏は苦笑うが、新しいコンピュータ言語に対応する学習ソフトを開発しても、10年前のようにはヒットしないという。
その理由は「回路設計の技術は年々進化しても、ユーザーはその進化に対応する投資より、コストダウンのほうに目を向けがちになっている」と指摘する。このため「教育に潜在的なニーズはあるが創業時と同じようなストーリーにはならない」(同)ようだ。
そこで、現在考えているのは、組み込みソフトの分野にも事業を広げること。「回路設計はいわばハードの部分、これをソフトまで取り込めないか」と考えたのである。ただし、組み込みソフトは競争が激しいので、HDラボとしての特色をどう出していくのかが課題だ。
■取引先には「とにかく楽しんでもらう!」
回路設計や教育事業の営業で心がけていることをひとつあげてもらうと、それは取引先に「とにかく楽しんでいただくこと」だという。
IT業界に限らず、専門的な分野を極めていると顧客よりもその世界に詳しいため、ややもすると営業はすぐに発注を迫ったり、あるいは売り込みたい技術だけをことさら強調したりしがちだ。しかし、それでは取引先に煙たがれてしまうことも考えられる。
そ こで、長野氏は取引先を訪問した際は、発注を強引に迫ったり、技術の押し売りをしたりすることはせず、「何より相手の会社に役立つ情報を提供するようにしている」と語る。
たとえば、技術やサービスを売り込む際でもただの説明に終わらず「そこに相手が欲しがりそうな情報を必ず盛り込む」と言う。つまり取引先との関係を大切にし、ビジネスライクな付き合いだけに終わらせたくはないというのが本年のようだ。
■“長野流ポークカレー”の味は?
そんな長野氏は多趣味である。ちょっとあげただけでも、写真、料理、ブラジル音楽、70年代ロックなどと多彩。なかでも現在ハマっているのが料理だそうだ。それも数ヶ月おきに極める料理の対象が変わっており、いま夢中になっているのがカレー。なかでもポークカレーは“長野流”らしい。
得意のレシピは、豚のバラ肉ブロックをまず塩漬けにして「塩豚」を作る。これだけでもスライスにして炒めて食べれば十分においしいが、同氏はこれを圧力釜で煮込んでとろけるような肉にする。そして、この肉をカレーに入れてさらに煮込むという懲りようである。
このほか「インド風カレー」というのもある。こちらは市販のスパイスを何種類か調合して好みの風味を作り出すのだという。
ちなみに、趣味にこそ入れないが読書も大好きだ。最近読んだのは、新渡戸稲造の『武士道』、山本常朝の「葉隠れ」、岡倉天心の『茶の本』など。最近の読書のテーマは“はたして日本人とは?”である。
趣味にみる豊かな探究心はバランス感覚に富んだ経営を物語り、それはまたHDラボの将来を指し示しているのだろう。
長野義史(ながの・よしふみ)
1963年生まれ、神戸出身、血液はAB型
㈱エッチ・ディー・ラボ
回路設計の総合コンサルティング会社。回路設計のエキスパート集団として真の設計生産性、設計品質の向上を獲得するための高度で柔軟な技術サービスを提供している。
決算3月
売り上げ4億5千万円
本社 〒222-0033 横浜市港北区新横浜3-1-4プラスタリアビル6F
TEL 045-477-4315 FAX 045-477-4316
http://www.hdlab.co.jp/
(「横浜つながりの元気企業」は新横浜を拠点にIT関連ビジネスを行っている企業のトップインタビューです。連載を予定していますが掲載は不定期です)
|