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ユーザ中心設計のすすめ(第29回)― 「ユーザ中心設計プロセス」について プリント
2009/04/24 金曜日 10:36:35 JST

今回のテーマは「ユーザ中心設計プロセス」についてです。「ユーザ中心設計」とは、インタラクティブシステム(注)を使いやすくするためにユーザの立場や視点に立って設計を行うことですが、その設計を行なう際のプロセスが非常に重要とされています。ISO13407はそのプロセスを規定したものであり、それに則って設計することを推奨しています。下記はそのプロセスを図示したものです。ビジネスの場でよく聞かれるPDCA(プラン、ドゥ、チェック、アクション)と似た考え方です。
ui-29-1.jpg
上図の用語を噛み砕いて表現してみます。

「ユーザ中心設計の必要性の特定」=「ユーザ中心設計プロセス」を実施すべきか否か。
ユーザと製品やソフトウェアとの対話(インタラクション)が複雑な場合は「ユーザ中心設計プロセス」の導入を決断します。逆に操作がシンプルで使いかたも自明なものはあえて「ユーザ中心設計プロセス」を導入しなくてもよいと言えます。

「利用状況の把握と明示」=ユーザはどんな状況でどのように使っているの?
「ユーザ中心設計プロセス」の実施が決まったら、まず使っている現場を確認します。設計の現場ではこれが実施出来ていないことが多く問題となっています。ユーザが困っている点や、ユーザはどう使いたいかが把握出来ていないと製品やソフトの仕様は決められないはずです。

「ユーザと組織の要求事項の明示」=ユーザのニーズやウォンツを明確に!
利用状況を把握したら、その情報を元に、ユーザはどう使いたいのかを明文化します。あくまでもユーザの声を反映させることが重要で、設計者の感覚や思い込みで決めるべきものではありません。

「設計による解決策の作成」=お試し案を作る!
ユーザのニーズやウォンツに対してどう実現させるのか検討を行い、操作フロー設計案、ペーパープロトタイプ、可動モデル、シミュレータ等の評価検証可能なものを作成します。ここでは優劣を比較できるように複数案作成することがポイントです。

「要求事項に対する設計案の評価」=使いやすいかどうか確認する!
上記のお試し案を利用して、ユーザビリティ評価を行ないます。実際のユーザに依頼して客観的に検証する「ユーザビリティテスト」と、ユーザビリティエンジニアに依頼して網羅的に問題点を抽出する「専門家評価」が代表的な評価手法です。

弊社はまさにこの「ユーザ中心設計プロセス」に則ったデザイン開発支援を行なっておりますが、これはインタラクティブシステム以外でも非常に有効なプロセスです。では詰め替え用シャンプーを例にして「ユーザ中心設計プロセス」を考えてみましょう。
ユーザは詰め替えの際に、中味をこぼしていないか?もしくは溢れてしまうことはないか?間違ってリンスの容器に入れていないか?利用現場を調査します。そういった問題に対して、ユーザはどう使いたいのか。そしてそのユーザの要求に対する改善案を複数試作してユーザビリティテストを実施してみる・・・といったプロセスが考えられます。
さて、皆さんの会社でも「ユーザ中心設計プロセス」を検討してみてはいかがでしょうか。

注:インタラクティブシステム=ユーザが対話式で操作する製品やソフトウェアのこと。例えば、携帯電話のようにユーザが画面に表示される情報を見て、それに応答するように操作するものを言う。
以下は参考書籍です。
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「ユーザビリティ ハンドブック」 共立出版

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                                                         過去記事一覧(第1回~第28回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。

株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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