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ユーザ中心設計のすすめ(第23回)― 切ったつもりが連続運転!電気ストーブ プリント
2009/01/29 木曜日 14:36:20 JST


ごあいさつ

皆様、はじめまして。U'eyes Design の鞆(トモ)と申します。
今まで、当コラムを担当しておりました龍淵に変わりまして今回より私が担当することになりました。
龍淵も難しい苗字でしたが、鞆はさらに難しく読みにくい苗字かと思います。
私は広島出身ですがその広島県の福山市に鞆の浦という名勝地があります。
かの有名な宮崎駿監督が社員旅行で鞆の浦を訪れたことがきっかけとなり、昨年公開された映画「崖の上のポニョ」の構想は、監督自身がこの鞆の浦に滞在して練られたものであるといわれています。
『ウィキペディア(Wikipedia)』鞆の浦
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9E%86%E3%81%AE%E6%B5%A6
ということで、私の名前も少し覚えていただけたのではと思います。
担当は替わりましたが当コラムのコンセプトは今までと同様です。
これまで以上にご愛読いただければ幸いです。

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本編: 切ったつもりが連続運転・・・
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最近、古くなった電気ストーブを廃棄し、どうせ買うならと思い切って最新の遠赤外線ストーブを購入しました 。「暖かいし、首振り機能もタイマーもついているし、ちょっと高かったけど買ってよかった~」と身も心もほくほく。そんなある日、問題が起きました。
いつものように、戸締りをしたり、ストーブのスイッチを切ったりとバタバタと出かける準備をしていたときのこと。「あれ?ストーブの電源切ったかな?」と心配になりもう一度ストーブを見てみると・・・誰もいない部屋をもくもくと暖め続けているではありませんか!!切ったはずのスイッチが連続運転に切り替わっていたのです。再確認したから良かったものの、このまま出かけてしまっていたら・・・と思うとヒヤリとしました。
このストーブのつまみは写真1のように、右に回すとタイマー、左に回すと連続運転になっています。消し忘れが怖いので、我が家ではいつもタイマー機能を使用しているのですが、この「切タイマー」、スイッチを切る際に急いでいたりして力が入りすぎたり操作が雑になると、写真2のように連続運転の位置までつまみが回ってしまうのです。  
  ui-23a.jpg ui-23-b.jpg
          写真1:タイマー機能使用状態               写真2:つまみを回しすぎて連続運転の状態
また、「切」と「連続運転」につまみが合うと、「カチッ」とつまみが止まる様になっているのですが、「連続運転」の位置はつまみが回せる限界位置でもあるため、つまみがそれ以上動かず固定されるのです。つまみを強く回してしまったとき、「切」を通り過ぎて「連続運転」で「カチッ」としっかり止まったため、スイッチを切った気分になってしまったのです。
うっかり者の自分もいけませんが、毎回、外出前の慌しい状況で慎重な操作を要求されるのは、ほくほく気分も半減です・・・暖かさは抜群なんですけれどね。

※本編部分は使いやすさ研究所<http://usability.novas.co.jp/>の使いやすさ日記(No.401 担当:橋本)より一部加筆修正して転載しています。

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解説
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「フェイルセーフという考え方」
フェイルセーフとは、製品やシステムにおいて、ユーザが誤った操作をした場合でも、常に安全側に制御するこ とです。本編の場合ですが、急いでいる状況下で操作が雑になり、その結果安全側ではなく危険な状態になってしまうことが問題点です。つまり本編の製品はフェイルセーフの配慮に欠けていると言えます。ユーザは、急いでいたり、何か考え事をしていたり、または通常時でも間違った操作をしてしまうものです。そういった間違った操作に対して、常に安全側に装置が働くように配慮することが重要です。
では他社製品はどうなっているのでしょうか。早速、家電量販店に行き実際の製品を見てきました。
  ui-23c.jpg 
上記は他社製品の操作パネルですが、電源つまみを回すことにより、簡単に確実にストーブを切ることができます。これはタイマーボタンと電源を別のスイッチにしているために、本編のような危険な状況にならないわけです。また電源を入れてから8時間経過するとタイマーモードでなくても自動でストーブが切れるという仕様になっています。これは、万が一電源を切り忘れた場合でも、安全側に制御するということからフェイルセーフな製品と言えます。
さらにこの製品には、チャイルドロック機能も付いており、子供が誤って電源を入れることのないよう配慮してます。また、安心センサーは、ストーブの周りに赤外線センサーが付いていてセンサー部にカーテンなどが振れると自動的に電源をOFFにする機能です。至れり尽くせりのフェイルセーフですが、このように安全側に配慮することは事故を未然に防ぐという観点から非常に重要なポイントです。
さて皆さんの自社製品のフェイルセーフ度はいかがでしょうか。 

*本コラムに関するご質問、ご感想などは、お気軽に
http://www.ueyesdesign.co.jp/contact/index.html
の「業務全般のお問い合せ窓口」よりご連絡ください。
みなさまの声をお待ちしております。
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                                                             過去記事一覧(第1回~第22回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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